前提が変われば変える

今日、マネジメントに対してプロジェクトの報告がある。備忘録の
ために記載しておくが、今日はターニングポイントといえる。
結論から言えば、本日の報告はトップに説明をしたうえで、延期し
、さらにはサプライヤーを変更すべきだ。


結局、「もうはじめちゃったから」という理由だけがまかり通って
いるが、それよりも大切なことは、ロジックを作り、それに合って
いるかどうかを常にチェックすることだ。


今回の場合、「既に選定したサプライヤーが走り出しているため、
それを止めるのは損失がでる」ということから、そのサプライヤー
で行くことを決めたのだが、そもそも、そのサプラヤー自身がまだ
走り出していなかったわけだし、さらには、こちらの要望と違うも
のを出してきたわけだから、断る理由もできた。なので、「今のサ
プライヤーを止めるのは損失がでる」という前提はなくなったわけ
だ。


前提が変わったのであれば、結論も変えなければならない。今回の
件で言えば、明らかに結論を変えるべきだ。ProsとConsで分析すれ
ば、Prosとしては、利益、性能と両方の面でプラスとなる。Consと
してはスケジュールと品質の懸念だろう。そこを冷静に分析すれば
いい。


「スピード」が重要といいながら、結局は、こうした迅速な意思決
定がまったくできていない。経営におけるスピードの重要性とはこ
ういうことではないだろうか。納期をギリギリに設定して追い込み
をかけることではなく、前提条件の変更に対して迅速なアクション
をとることだ。


そういう意思決定をするためには、常に前提条件を意識している必
要がある。


「もう走り出しちゃったから...」というのは、結局、言い訳であ
り変更することに伴う面倒やリスクを回避したいだけだと思う。
そういうマインドでいるから、前提条件が変わっても走り続けてし
まうのだと思う。


トレンドや潮目を読むというよりは、前提条件をきちんと考え、そ
れをウォッチするということが重要なのだろう。

 従業員がダメだと言う会社

今回の出張で何が面白かったかというと、こんなにも従業員がダメ
な会社だと思っているか、ということがよくわかったからだ。
マーケやBUサイドから話を聞いていたが、まったく同じようなこ
とをロジの人間も言っているというのは面白かった。


自分の会社を揶揄して、"My Company is 3P, Intersting people,
Interesting product, Intersting policy."と言っている。


従業員にまで問題が透けて見えているのに、それに対する対処が
まったく見えないのが問題だ。僕自身も疑問に思っているが、こ
ういうことがどれだけマネジメントに伝わっているのだろうか。
これがきちんと伝わっていないことが一番の問題だろう。こうい
うことが繰り返されると信頼が失われていく。


一方で、それをきちんと問題と感じているのであれば、それに対
してどういうことを考えているのかをきちんと示すべきだ。そこ
に希望が見えるのであれば、こういう自社を卑下するような自体
は起きない。


悪い方へに向かって変化しているという感覚は、まともに仕事し
ている人はきちんと感じているものなのだろう。結局、誰がまと
ものに仕事をしていて、誰が私欲で動いているか、そういうこと
を見極めないといけないのだと思う。

 もぬけの殻を買った!?

とある会社A社が海外でM&Aを行い、B社を買収したのだが、そ
の後のマネジメントに苦労しているのだという。買収されたB社は
不良債権で苦しんでいるところでそれを再生できれば、という案
件だった。


ところが、それ以前に同業の企業C社がその国に進出する際に、既
にB社から有望なエンジニアなどをごっそり引き抜いたのだという。
B社のエンジニアもアホではないだろうから、会社の苦境などはわ
かるし、さらに、高い給与を提示されれば、移籍もするだろう。


さて、問題なのは、それをA社がわかっているかどうか、というこ
とだ。たぶんわかっていないと思う。出資する際に、される側がそ
んなネガティブな情報を出すわけはない。


問題なのは、出資した後でさえもそうした事実をつかめていないこ
とだろう。A社は資金が回らなくなっていることを問題とらえ、そ
れを解決さえすればうまくいく、と思っているが、実は、企業の競
争力の源泉さえも毀損している可能性がある、ということを認識し
なければならない。つまり、「実はもぬけの殻を買っちゃった」と
いう事態に陥っているかもしれないということだ。


ただ難しいのが本質的にその事業をやったことがないわけだから、
その競争力の源泉というものを把握することができない、というこ
とだ。土地勘のない買収というものは難しい。M&Aは興奮するし
、面白いだろう。でも、同時に大変な難しさを伴うものだ。M&A
をするというのも大きな決断だが、しないとういことも大きな決断
である。


いずれにしても、こういうことをきちんとケースとして残せるかど
うかというのが会社の地力をつけていく上でも重要になるのだろう
。買っちゃった以上はどうにかしないといけないのだが、買う前に
そうした分析をきちんとできていなかったということを認識するこ
とがそれ以上に重要なことだろう。

 セールスミーティング

とある企業のセールスミーティングに参加。全国からセールスマ
ンが集まってきて、事業部門とディスカッションを行う場だ。
せっかくだから観察させてもらったのだが、結論から言うとどの
リージョンにおいても言っていることは...


・競合の値段に対してうちは高い、という話がほとんど。
・商品レンジが少ないことに対する話がちょっと。
・品質に対する要望、新商品の要望はほとんどなし。
・デリバリーに対する要望もほとんどなし。


結局、セールスサイドの関心事というのはそういうこと、という
のが理解できた。逆にそれ以上のことをセールスに求めたとして
もうまくいかない、ということを理解すべきだろう。


この企業が自社のセールス網を使って事業を行おうするのであれ
ば、こういうことを理解すべきであろう。これが前提条件である



これを前提としたときに何を考えるかが戦略だろう。


これだけ読めば、他社よりも安いものしか売れない、と捉えられ
るが、逆に言えば、そういうものを前提にした商品を出せば、売
ることはできる。そこを徹底的に突く、というのも1つの戦略で
ある。

 外資系の経験者

とある外資系経験者と食事を共にした。転職してきたこともあり、
その会社のことを客観的に見ているところが共感できる。また、
死ぬ思いでプレッシャーをかけられる場所から事業会社に移って
きたこともあり、事業会社の仕事が生ぬるいとしか感じられない
とも言っている。


その分野において専門性をもち、高いスキルを有していることは
よくわかる。でも、一方で、そうだからこそ、その事業会社に対
するロイヤリティはそれほど高くはない。


そもそも転職時点で、最年少で責任者であげることを条件に会社
に入ったという。また、海外赴任されているのだが、それも、「
好条件で英語のスキルもあげることができるし」ということを言
っていた。帰任後も、いい条件があれば、別の会社に移ることも
ありえるとも言っている。実際に、スキルを有しているわけだか
ら、海外赴任においても、会社にきちんと寄与できる自負はきち
んと持っているわけだし、僕自身も彼ならそれができると思う。


さて、そうした人材をどう考えるか、というのは一つの面白いケ
ースだと思う。結局は、スキルと人材育成をどう考えるか、とい
うことだと思う。僕自身はスキルベースでは彼のことをリスペク
トするのだが、利己的な部分が最初にくる点が気になる。もちろ
ん、彼もそんなことを公言しているわけではないからわからない
とは思うのだが、そういうところが本質的に人をみる大切なポイ
ントだろう。


利己的だろうが成果さえ出せばよい、というのは一つの考え方だ
が、やはり将来の経営者を担って欲しいと思うのであれば、利他
的である、というのは必須な条件のように思える。

 工場ありきの発想

とある会社の話だが、ものづくりの会社ということもあり、どう
しても工場ありきの発想になる。そもそも、工場に空きスペース
ができるから内作を検討する、というのは本末転倒である。


別に内作を否定する必要はないが、それは内作することによって
付加価値が生まれ、利益が生まれるというのが前提である。その
前提は、規模の経済である。販売量が確保されてはじめて成り立
つビジネスである。販売すらまったく確保されておらず、将来性
においても不確実なのに、その時点から、内作の話を一生懸命す
るのは本末転倒である。


規模の経済という原点に立てば、中国から調達したほうが圧倒的
に有利である。大切なのは、販売予測と事業規模から、どこから
内作を検討していくのか、という「前提」の作成である。その前
提に基づいて検討すべきだ。


内作による成功体験があるのはわかるが、それが全てにおいて適
応できるかどうかというのは別問題だ。


特に今回の商品というのは、単品ではないため、大量生産に向い
た商品ではない。品種が必要になる商品なのだ。そういう特性だ
からこそなおさらである。


これも他社を見れば明らかだ。基本的にどの企業も製造は外に出
している。自社が有しているのは企画と開発と調達である。そこ
の良し悪しで競争をしているのだ。それを理解した上で内作を主
張するならまだしもそうした状況さえも確認していない。


そのビジネスにおける最低限のルールというものをきちんと理解
することが事業を運営する上では重要だ。

 語学は差別化にならない

とある中国のサプライヤーを訪問した。大手企業ではなく、あく
まで中小企業だ。中国のサプライヤーで思うのは、たいていどの
企業でも、英語を話せる営業がいて、それはたいてい女性だ。
今回訪問した企業も、英語を流暢に話す女性が対応してくれた。
別に、どこかに留学していたとかではなく、地元で育って勉強し
ただけだという。


こういう中小レベルの企業であっても、流暢に英語を話し、世界
中からくる顧客に対してきちんと対応できる人がいるのだ。そう
考えれば、「英語を話せます」なんていうのは、グローバルレベ
ルでみれば付加価値でもなんでもない。最低限のスキルともいえ
る。


じゃー日本の企業の国内で営業をしている人間で、海外からのお
客さんに対してきちんと対応できる人たちがどれだけいるだろう
か。もちろん、仕事上、英語を使う必要などないわけだから仕方
がないというのはあるのだが...。


ただ、グローバルレベルで見れば、「英語を話せて営業ができる
」というのは特筆すべきスキルでも何でもなく、中国の中小企業
で雇われるぐらいのレベルというわけだ。逆に言えば、英語が話
せたとしても、せいぜい中国の中小企業の営業マンにしかなれな
い、ということだと思う。


それを考えると、労働省に限らず、そうしたホワイトカレーの人
材においても、賃金が収斂していく、というのは当然だ。


語学というのは最低限のスキルであり、それ以上の付加価値を出
せてはじめて意味があるのだろう。楽天ユニクロが、というよ
りは、柳井さんや三木谷さんが英語を公用語にしないとグローバ
ルでは戦えないという気持ちはわかる。彼らの意図を読めば、日
本市場も英語化が必要、というよりはグローバル化を目指すので
あれば、少なくとも本社はグローバルヘッドクオーターでなけれ
ばならないという考えだろう。