もぬけの殻を買った!?

とある会社A社が海外でM&Aを行い、B社を買収したのだが、そ
の後のマネジメントに苦労しているのだという。買収されたB社は
不良債権で苦しんでいるところでそれを再生できれば、という案
件だった。


ところが、それ以前に同業の企業C社がその国に進出する際に、既
にB社から有望なエンジニアなどをごっそり引き抜いたのだという。
B社のエンジニアもアホではないだろうから、会社の苦境などはわ
かるし、さらに、高い給与を提示されれば、移籍もするだろう。


さて、問題なのは、それをA社がわかっているかどうか、というこ
とだ。たぶんわかっていないと思う。出資する際に、される側がそ
んなネガティブな情報を出すわけはない。


問題なのは、出資した後でさえもそうした事実をつかめていないこ
とだろう。A社は資金が回らなくなっていることを問題とらえ、そ
れを解決さえすればうまくいく、と思っているが、実は、企業の競
争力の源泉さえも毀損している可能性がある、ということを認識し
なければならない。つまり、「実はもぬけの殻を買っちゃった」と
いう事態に陥っているかもしれないということだ。


ただ難しいのが本質的にその事業をやったことがないわけだから、
その競争力の源泉というものを把握することができない、というこ
とだ。土地勘のない買収というものは難しい。M&Aは興奮するし
、面白いだろう。でも、同時に大変な難しさを伴うものだ。M&A
をするというのも大きな決断だが、しないとういことも大きな決断
である。


いずれにしても、こういうことをきちんとケースとして残せるかど
うかというのが会社の地力をつけていく上でも重要になるのだろう
。買っちゃった以上はどうにかしないといけないのだが、買う前に
そうした分析をきちんとできていなかったということを認識するこ
とがそれ以上に重要なことだろう。