工場ありきの発想

とある会社の話だが、ものづくりの会社ということもあり、どう
しても工場ありきの発想になる。そもそも、工場に空きスペース
ができるから内作を検討する、というのは本末転倒である。


別に内作を否定する必要はないが、それは内作することによって
付加価値が生まれ、利益が生まれるというのが前提である。その
前提は、規模の経済である。販売量が確保されてはじめて成り立
つビジネスである。販売すらまったく確保されておらず、将来性
においても不確実なのに、その時点から、内作の話を一生懸命す
るのは本末転倒である。


規模の経済という原点に立てば、中国から調達したほうが圧倒的
に有利である。大切なのは、販売予測と事業規模から、どこから
内作を検討していくのか、という「前提」の作成である。その前
提に基づいて検討すべきだ。


内作による成功体験があるのはわかるが、それが全てにおいて適
応できるかどうかというのは別問題だ。


特に今回の商品というのは、単品ではないため、大量生産に向い
た商品ではない。品種が必要になる商品なのだ。そういう特性だ
からこそなおさらである。


これも他社を見れば明らかだ。基本的にどの企業も製造は外に出
している。自社が有しているのは企画と開発と調達である。そこ
の良し悪しで競争をしているのだ。それを理解した上で内作を主
張するならまだしもそうした状況さえも確認していない。


そのビジネスにおける最低限のルールというものをきちんと理解
することが事業を運営する上では重要だ。