「狂」

立花隆氏の「青春漂流」を読んだ。chikirinのオススメ本の中
に入ったから購入した。本人の旅行記のようなものだと思って
いたが、そうではなかった。各界、しかも一見まったく日の当
たらないような分野のプロフェッショナルに対してのインタビ
ューを集めたものだった。


その分野がすごい。ナイフ職人、猿まわし調教師、精肉職人、
動物カメラマン鷹匠...。およそ"ふつう"の職業とは言えない
ようなものばかりだ。


でも、どれもそれはまさに「狂」として生きている人そのもの
だ。「狂」とは何かを感じたかったらこの本を読めばいいと思
う。


猿に自転車の芸を覚えさせるために、できるかどうかもわから
ないのに、5ヶ月間ひたすらペダルをこがせたり、毎日、4ト
ン近くの肉をさばき、そして肉の本まで書き上げ、夜は山にこ
もり鳥の一瞬の写真を撮るためにひたすら神経を研ぎ澄ませて
待ち続けたり...およそ正気の沙汰とは思えない。でも、そこ
に生きる意味を感じてそれを実際に行っているのだ。


昔、Hさんに出された課題でHさんがその課題から読み取ろう
としたことが5つある。1つ目は、「それに対して質問をして
くるかどうか」、2つ目は「実際に現場にいくかどうか」、3
つ目は、「期限までに提出したものと最終プレゼンが同じかど
うか」、4つ目は、「本当にそれが面白いか、いますぐやりた
いか」、そして5つ目は「狂かどうか」。


これを聞いたTさんは、一番重要なのは「狂になれるかどうか
」だといっていた。


果たして自分は狂になれるだろうか。インドという地にきたと
いうだけでは何の意味もない。ただの駐在社員だ。狂になって
はじめて何かが見えてくるはずだ。