大企業の役割

ヨーロッパに行ったときに、自社の紹介をするのに、
とても困ったことがある。こんな製品をやっています
、あんな製品をやっています、といったことを説明は
できるのだが、「何が強みです」ということが言えず
に非常に困った。


では、自分たちは何の強みもない会社なのか...という
とそういうわけでもない。では、何が強みかというと
それは、「大量生産」と「販売」だと思う。


大規模な投資を行い、大量生産を行い、そして販売し
てコストを下げる、という規模の経済をやろうとした
段階で大企業というものには役割がある。


もちろん、自社の独自技術があり、その技術において
大量生産と販売の強みがあればなおよいのだろう。


要はどんなに面白い技術であっても、売上げ高が1億
ぐらいの事業であれば大企業ではやりずらいのだ。そ
の程度では工場も人件費も維持することができない。
そうなると、大企業が「何かをしよう」と意思決定す
るときには、そのもの自体既に新しいマーケットがあ
る、と考えたほうがいい。


従って、市場のないもの or 市場の未来が読みにくい
もの、を事業部門にもっていったとしても、それをや
るという意思決定はできないのだ。


さて、話が少しずれたが、そしたら大企業の人間は何
をすべきか。それは、自社の製造と販売の強みを活か
せる分野において、何が求められているのか、という
ものを明らかにすることだ。要は「何を作るか」を決
めるのだ。そしてそれを実現する上での技術を探索す
ることが必要なんだろうと思う。


さて、今度は僕がヨーロッパに行ったときを考えると
、あのときいくつかのベンチャーを見たが、例えば、
そういう技術を買う、技術導入する、そういうような
視点で見なければ本当はいけなかったのだと思う。


展示会で出会った企業についてはそういう感想をもっ
た。自分たちが○○マーケットを目指す、というので
あれば必ずしも自社開発の技術である必要はない。に
も関わらず、自社開発ならOK、他社のは知らん、と
いう態度に問題意識を感じるのだ。


また、販売力を強み、ととらえるならば、販売力を持
たないエリアにおいては何の強みもないただの企業と
言い換えることができる。特にドメスティックな企業
で海外での市場シェアをもっていない企業というのは
海外事業においてまったく強みをもっていないといえ
る。多くの大企業が海外の企業を買収して販路を開こ
うとしているのは、逆にいうとこの強みである販路を
海外にも広げようとし、そのための手段としてM&A
を使っているといえる。