審良静男氏

20日の日経新聞の日本創造会議というシリーズで大阪
大学の審良静男氏が特集されていた。


審良静男氏は、免疫学分野の論文引用回数でコンスタン
トにトップに立っており、ノーベル賞に最も近い人とも
呼ばれている。


その記事にあった研究室の運営方針が参考になった。


(1) 半分を現在のテーマ、半分をテーマの探索
留学生を含めて30名いるスタッフのうち、半分を現在の
テーマに集中させ、残りを新しいテーマの探索に充てて
いる。コンスタントに成果を出していこうとするならば
常に種まきをしておかないといけない。それを怠らない
ようにしているからこそ出せる成果なんだと思う。
審良氏の役割はおおまかな研究方針を立て、今の研究を
いつまで続け、いつ別の領域に移るのかを見極めること
だという。やはり、見極めというところにそれまでの積
み上げ出しかできない判断があるのだと思った。個別テ
ーマは3人の准教授と4人の助教が決めて指導す
る。


(2) 競争させずに強力させる
研究スタッフはテーマは違っても微妙に関連するように
選定し、互いに助言し合える環境を整えた。競わせて鍛
えという考え方もあるが、今はそんな時代ではない、こ
こまで勝ってこれたのはチームで勝負してきたからだ、
という。これも同感だ。関連性がなければその組織でや
る必要性がほとんどなくなる。その関連性をどれぐらい
の幅で持たせるか。このマネジメントが研究をマネジメ
ントする上では重要なんだと思う。


(3) 囲わない
研究を1年ほどやって結果がでないのは、自分たちにノ
ウハウがないからだ。いくら続けても、小粒な成果しか
出ない。譲ったマウスで競争相手に先を越されても、自
然免疫という分野に活気が出た方が自分たちの成果も注
目される。また、囲わないという意味で、部下もできる
だけ外へ出すようにしている。右腕と言えるような有能
な研究者ほど独立させるべき。本人のためになるからと
いう親心だけではなく、自分の研究室にもプラスになる
。有能な部下がいるとどうしても頼ってしまい、次の研
究テーマに軸足を移す機会を逃してしまう。退路を断っ
た方がよいアイデアがでやすい。。。
囲わない、というのは自分が新しいものを生み出せると
いう強いコミットメントがなければ決してできない。部
下や成果もそうだが、自分自身の過去の経験だってそれ
を囲おうとした時点で成長はとまってしまう。こういう
考え方はまさしくHさんと同じだ。




一般的に言えば、大学の研究室のほうが企業の研究室よ
りもマネジメントされていないと考えられる。でも、そ
れはあくまで一般論であり、トップの器量によりいかよ
うにも変わるだろう。例えば、審良先生のようなマネジ
メントのしかたでうちの研究室を研究室をマネジメント
しようとしたらどうなるだろう。とてもじゃないがつい
ていけない。そもそも成果のレベルをみても、全然たち
うちできるレベルではないだろう。でも、少しずつこれ
に近づけるようにすることは僕らでもできるはずだ。


審良先生のwebのメンバーの欄をみていたら、知ってい
る人がいたのでびっくりした。