商品Mと商品D

商品Mがひさしぶりにヒット商品を出した。商品Jの分
を補うまでにはいかないが、とりあえずちょっとはも
ちなおした、といえるかもしれない。


ただ、そうはいっても商品Mには構造的問題がある。市
場自体がシュリンクしているのだ。そのシュリンク
原因として、顧客の財布シェアであるとか、営業の力
の入れ具合とかあるが、根本は代替品の登場といえる
だろう。まったく異なる事業による、代替というのは
なすすべがない。従って、シュリンクする市場内での
シェア争いというものを近年はずっと行っている。


そのシェア争いにおいても、価格競争の様相を呈して
おり、高機能版から低価格商品まで出揃った感がある
。さらには差別化要素も限られてきており、各メーカ
ー打ち手に困っている状況だ。


そんな中、競合をまったく別のものに設定し、コンセ
プトメイクを行った結果、成功したのが今回の商品だ
。それでも、業界自体の苦境をどうにかするほどの爆
発力があるわけではない。


一方で同じような成熟商品であるにも関わらず、高い
利益率を誇っているのが、商品Dである。同じように、
これ以上の技術開発余地というのが難しい商品である
。しかしながら、まさに「金のなる木」のカテゴリー
といえるだろう。また、その中でうまく付加価値を出
すことによって単純な価格競争に陥らないようにして
いる。また、商品の特性から、プロモーションもうま
く行っており、ブランド優位性も生み出している。


これは戦略がうまくいった例といえるだろう。でも、
商品Mと商品Dの大きな違いはやはり、対応できる代替
手段の登場があるかどうか、というのが一番大きな要
因だといえる。例えば、商品Dにそういう状況がやって
こないとは限らないわけだ。そうなったとき、どういう
戦略の打ち手があるのか、そんなことを考えるのもよい
ケースだと思う。