七人の政治家の七つの大罪

小林よしのり氏の「日本を貶めた10人の売国政治家」を
読み、いろいろな政治家を批判している中で、小林氏が
唯一と支持していたのが平沼赳夫氏だった。それに興味
を持って平沼氏の著書を読んだ。


確かに愛国心の塊のような人で保守政治家としての主張
には納得した。ただし、いくつか矛盾するような主張も
あり、そこが納得いかなかった。


例えば、郵政民営化。要は地方のお年寄りのセーフティ
ネットの話と郵政の事業の話がごっちゃになっている。
たしかに今まで郵便局がそうした役割も担っていたのか
もしれない。しかし、行政のスリム化でムダをなくすと
いう目的の元、郵政の民営化が行われた。そうであるな
セーフティネットの部分は民営化された一企業ではな
く行政サービスとして提供すればいいだけの話だろう。
そしてそれがどうしても必要なのであれば、何をどのく
らいのサービスで提供するのか、を明らかにして郵便事
業会社へ委託すればいいだけの話だと感じる。


またそれらに関しても結局は具体的な数値ではなく、主
観的な直観に従って言及している、という点が残念だっ
た。もちろん、アメリカへの投資を可能にさせるための
民営化という話もあればそれはまた別の話であり、国民
の資産を守るかどうかとセーフティネットの話をごっち
ゃにしてはいけない。


また、かんぽの宿についてもこう言及している。「かん
ぽの宿は、簡易保険の加入者が利用しやすいように低料
金に設定され、そのために赤字になっていたのだ。その
事実を無視して、赤字だから安く譲渡するという理屈は
成り立たない。」


私は平沼氏の主張の方がおかしいと思う。それこそ簡易
保険の加入者が利用しやすいように、という目的自体が
もはや役割を終えてしまっている、と思うのだ。国民全
体が裕福ではないときに、多くの人がこういう安価な施
設があることで非常に助かった、という背景があったか
ら意味があったのだ。しかし、現在においては多くの安
くて良質なサービスを提供するほかの多くの施設がある
からこそ、かんぽの宿が赤字になっているのだ。その役
割の有効性を再検証していない点が問題だろう。もう1
点言えば、かんぽの宿だけが、税金でそうしたサービス
を付加価値として提供できる、というのは民業圧迫の何
ものでもないと思う。民業にはそうした付加価値はなく
、かんぽでは税金で作られた宿があり、それが安く利用
できるというのは競争原理上おかしな話だと思う。


また、竹中氏のダボス会議出席の批判も的外れだろう。
欧米各国の政府首脳が出席するなか日本政府からは出席
する必要がない、と言ってしまったら、どうやってこれ
からグローバル化がさらに進展していくなかで他国と協
調していくのだろう。少なくともそうした場で情報のや
りとりがもっとできるようになっていかなければ遅れる
だけではないだろうか。


保守政治家としての思想は共感できる。しかし、経済産
業大臣を務めたのにも関わらず、成長戦略に関する認識
が古いように感じた。そこがすごくもったいなく感じた