次工程はお客様

「次工程はお客様」、これは、品質管理で使われる用語
だ。

http://www.uvc.co.th/J40.htm
さて、品質管理で大事な標語である「次工程はお客様」
はみなさんもご存知だと思います。しかしこれをタイ人
社員に説明すると「次の工程はお客さんと思って良い品
質ものだけ払い出せ」と簡単な説明になってしまうと思
います。「次工程はお客様」は品質管理の心構えとして
必須ですから、ぜひ次のように3段階に分けて意味を説
明してタイ人社員に理解させて欲しいと思います。


(1)自分の工程での責任を果たす。
会社で働く人は全員、責任を与えられて仕事をしていま
す。ですから会社で働く人全員が自分の工程での仕事の
責任を果たさなくてはいけません。これを最初の工程か
ら最後の工程まで全員が行えば品質の良い製品を作り出
せます。


(2)前工程は次工程に対して品質の責任がある。
前工程の品質が悪ければ後工程で品質の良いものを作り
出すことはできません。自分の工程に責任を持つとは、
次の工程に払い出す製品の品質を保証するということで
す。次の工程はお客様同様、品質の良い製品だけを払い
出すようにします。


(3)前工程からは品質の良いものしか受け取らない。
前工程からは品質の良いものしか受け取らないようにし
ます。また後工程は前工程に対して正しい品質の要求を
行う責任があるのです。ですから不良はもちろん品質上
、気がついた点は上司を通じて前の工程にフィードバッ
クするようにします。


このように「次工程はお客様」の正しい意味を3段階に
分けて具体的に説明します。このように説明すればタイ
人社員も工場で働く人全員が自分の工程に責任を持って
仕事を行い、お互いの工程で良いものしか払い出さない
、受け取らないようにして行くことにより品質の良いも
のだけを作り出すことができるようになることが理解で
きるようになります。私たちが日常当たり前に使ってい
る標語ですが、タイ人社員に説明するときは相手が具体
的に何をすればよいのかが分かる説明の仕方が大切です



つまり、決められたものを決められた通り、よりよいも
のをより安く作るという場合にはそれが成り立つ。要は
品質の良し悪しが差別化要因になりえたときはこれが思
いっきり効果をなしていた。


しかし、これはもはや必要条件であり、十分条件ではな
い。モノが売れない時代になっている。出せば売れた時
代とは違うのだ。それにも関わらず次工程はお客様の考
えでやっていてはダメだろう。まずは明確にそれを否定
することからはじめないといけないのではないか。要は
何が売れるか不確実であれば不確実なほど、コンセプト
とはまとまりにくいし、各人思いは様々である。それは
それでいいのだが、そこをつなげる何かがあるべきだ。
P&Gの場合のそれが「ask your boss」だ。困ったらお客
さんに聞く、というのが根底にあるからこそ最終的に意
見をあわせることができる。うちにも「S・お客様主義
」はあるものの何の意味もなしていない。それっていう
のは、「次工程がお客様」を否定しないから、結局は過
去の延長線上での考え続けているからなのだ。


事業部の言う通りにやっていれば業績があがるのであれ
ば、その通りやればいい。それだけの話だ。でもそうい
う時代ではない。例えば、ヒット率(新商品のうち予定
台数売れた率)の経時変化を追ってみたらどうだろうか
。そうすれば事業部の言う通りにやるべきなのか、どう
か、もしくは事業部の企画能力っていうものがわかって
くるはずだ。また、もはや何をやってもダメというよう
な産業の生き死にレベルもそれで判断できるのではない
だろうか。


例えば、H事業部の例なんかで言えば、半年後に受注台
数が1/10以下になることすら予想できずに増産増産
といっていた。本当に市場を見れていればもう少し早く
それに気づけたのではないだろうか。またそうなるかも
しれないから、それに対する打ち手を打とうというその
種まきすらもできていなかったのが現状だ。にも関わら
ず、「次工程はお客様」の考えのもと、H事業部の言う
ことを聞きましょう、というのはおかしいだろう。


そうではなく、H事業部にも聞くし、お客様にもっと聞
こう、というのが本来のあるべき姿ではないだろうか。
そのためにどうするか、お客様にどうやってアプロー
チするかの仕組みを作る。お客様にアプローチして何
をするかを決める。観察、ヒアリング、自分で体験し
てみる?また非コンシューマに対して何をすべきかと
いうのを決める。それを事業部門だけでなく、どこの
部門にいてもできるようにする。それが打ち手という
ものではないか。