GRIDY

先日、日経新聞にGRIDYの一面広告が出ていた。GRIDY
とは完全無料を謳うクラウドグループウェアサービ
スだ。


これまでも無料のグループウェアサービスは多数あっ
たが、それらの多くは広告により収益をあげようとし
ていた。結果的に広告のわずらわしさからユーザは定
着しなかった。


GRIDYはそれらと異なった収益モデルを作っている。
それはGRIDコンピューティングを活用し、ユーザのハ
ードウェア資源を研究所などに売って収益をあげると
いうものだ。


グループウェアの機能も一通り揃っており、使い勝手
もよさそうだ。


GRID自体の仕組みはそれほどよくはわかっていないが
、ユーザが増えれば増えるほど、その性能は上がると
考えてよいのではないか。そうなると、実際の収益を
上げる部分のGRIDシステムとしてのサービスの提供価
値が高まる。そのためには、ユーザを増やす必要があ
り、必然的にユーザへの提供価値というものも高めて
いかなければいけない。


極めて面白いビジネスだと思った。


サービスを提供している会社はブランドダイアログと
いう。その代表の稲葉雄一氏のインタビュー記事があ
った。


http://enterprise.watch.impress.co.jp/cda/meister/2008/11/28/14382.html
http://www.rbbtoday.com/news/20090625/60763.html


面白いのは課題の認識ポイントだ。YouTubeやニコニコ
動画などはどんどんユーザが増えてサイトの資産価値
は上がっているのにも関わらず、ビジネスとしては採
算がとれる状況ではない。それはユーザが増えれば増
えるほどハードウェアのコストが膨らみ損益分岐点
どんどんと上がっているからだという。要は、インタ
ーネットにおけるビジネスモデルにおいてインフラの
コストがボトルネックなる、という課題を認識してい
たという点がすごい。


その一つの解決策としてGRIDによる遊休資産の活用を
結びつけたのだ。「インフラのコストをいかに軽減で
きるか」という課題をGRIDに結びつけたのだ。


こうしたある程度広いスコープで、かつクリティカル
な部分で課題認識をできるかどうか、とういのが一つ
重要な点ではないだろうか。


さて、ビジネスとして成功できるかどうか、というの
は、どれだけグループウェアの利便性を高めユーザを
獲得できるか、また、そのGRID環境をどんだけ営業で
きるか、という点につきるだろう。これまでの広告モ
デルと同程度のサービスではとてもではないが、サイ
ボウズのシェアを奪っていくことはできない。でも、
この当たりはサイボウズが比較的対応できてない、よ
り小さな企業やSOHOなどを顧客対象としている。


さて、これに対してサイボウズはどういうアクション
をとるのだろうか。サイボウズ自身もクラウド型のサ
ービスの提供をすることは意思表示しているが、収益
モデルがまったく異なることから、無料を実現するの
は難しいと思う。もし、サイボウズが無料にするとし
たら、それはかつてマイクロソフトサイボウズに対
して無料グループウェアを提供してきたのと同じよう
な構図になるのではないだろうか。


このケースは「イノベーションのジレンマ」になる可
能性を秘めているといえる。