成功も不確実
その昔、テーマを事業部が受けてくれない、と困って
いた時期があり、いろいろと思考錯誤していた。
でも、結果的に事業部が引き受ける、きっかけとなっ
たのは、こちらからの働きかけでも、マーケティング
調査でも何でもなかった。
事業部キーマンのやる気というのもあるのだが、それ
よりも共同研究先が1000台買ってくれる、という
発注を出してくれたことだろう。「事業の継続性」を
考えたらそれでいいのかどうか、というのもあるが、
少なくとも目先の商売を考えれば一応は利益が出て、
実績になる。事業部を説得するにはやはり、明らかな
メリットを出すか、市場がないのであれば、それを買
ってくれるお客さんを実際に見つけることが一つの大
きなキーになるんだろう。
これをもう少し深堀していくと、では共同研究左記は
どうしてそういう提案をしてくれたか、ということだ
。
これが全てかどうかはわからないが、たぶん、当時の
テーマリーダーだったIさんが、「事業部でやってくれ
るところがなくて困っている、どうにかならないです
か?」というようなことを共同研究先に話したのがき
っかけだったのではないか、と思う。
そのときの会議で、僕は「共同研究先にそんなことを
言っても、彼らは事業部じゃないんだから、しょうが
ないだろう、アホか」ぐらいに僕は思っていた。Iさん
もそれが壁を打ち破るきっかけになるとは考えていな
かっただろう。
でも、結果的にそれがあったからこそ今があるのでは
ないだろうか。
そう考えると狙ってできたわけではない。もし、正攻
法だけを考えてそういう意味のないようなことをやら
なかったらおそらくテーマは消滅していただろう。
つまりは成功したからといってそれがコントロールさ
れたものかといえば、この事例のように往々にしてそ
れさえも不確実なものなのだ。
それを理解していないと、正攻法でダメだからダメだ
った...ということになってしまう。
これも経験として学べてよかった。そういう意味でも
Iさんに感謝だ。