出世する人

今回の人事でOさんが大幅な出世を遂げた。近年の傾向
で、おそらく親会社がそうしていることもあり、別に
それ自体は否定しない。


でも、やっぱりこういう人ばかりが出世するというの
がそもそもの会社が衰退する要因だろう。声が大きく
て、えらそうに何ちゃってMBA用語を連発。さらには
BUにはない人脈を自慢し...。たしかに、自分でこと
を動かし、新しいことをやろうという気概は持ってい
る。でも、こうやって取り立てられることで、そうい
ういい面も失っていってしまうように思う。


もうOさんは2度と謙虚な自分にはなれないだろう。地
位自体も上がってしまったことで、ますます周りを見
下すような態度をとるだろう。そして、自分を否定す
るような意見をいう人間は恫喝し、自分に取り入る人
間を重宝するようになる。Oさんを引っ張りあげたYさ
んと同じだ。


若くして上に行くこと自体は悪くない。でも、その負
の面を十分に理解させてからでないと、結局いい方向
にそれは作用しなくなってしまう。モノマネで他社の
仕組みを取り入れてもうまくはいかない。


しかし、問題は、だからといって他に誰かいるか、と
いえば誰もいない、という現状だろう。こういう人が
上に行くべきではない、とは言ったところで、それに
代わる人がいないのだ。それだけ人材が枯渇している
。事業は買収できる、商品は買ってくることができる
、資金は調達できる、でも、人だけは時間をかけない
と育たない。もちろん、他から引っ張ってくることも
できるが、でも、人がもっともカルチャーを作る部分
でもある。能力があれば誰でもいいのか、といえば、
そういうものでもないのだ。今後さらに人材は枯渇し
ていくだろう。何といっても、「今後たくさんいい人
材が育つぞ!」という兆しがまったくない。僕自身が
他を知らない、ということもいえるが。それでも、会
社自体に活気があればもっとそういう雰囲気は出てく
るはずだ。たぶん、高齢化と人口のシフトという年齢
構成のアンバランスがそうさせているのだと思う。


上に上がれないバブル世代の士気が下がり、それが全
体に波及する。若手がいないから、人の上に立つ経験
が全体的に不足している。また、若手自体の人数も少
ないから活気が起きにくい。構造上の問題だ。でも、
だからといってダメということではない。それを踏ま
えた上でできる施策だってあるはずだ。でも、まずは
問題を認識しないことにはその施策だって出てくるわ
けもない。