おばあちゃんとコミュニケーション

生活の快適性とか利便性をを追求していくと、だいた
い必ず出てくるのが、「おばあちゃんとコミュニケー
ションできます」みたいなコンセプトだ。


ドコモが携帯電話の未来を語るときも、この3D画像で
田舎のおばあちゃんとリアルタイムでコミュニケーシ
ョンができて、おふくろの料理のレシピもボタン一つ
で...みたいなことをやってると思う。少なくとも僕
が就職活動をしていた頃なんかは、10年後の未来、み
たいなビデオを見せられてそんな映像を流していた。


同じようなコンセプトが自社の中にもあるのだが、果
たしてそういうところに真のニーズというものはある
だろうか。


もちろん、パッと見たりすると「これはいい!」と思
うのだが、いざ「買うか?」となったときに「はい」
という人がどれだけいるだろうか。つまり、そこに必
然性だとか、代替品との比較、といった考えが入ると
必ずしも、強力なコンセプトにはなりえない。


思うのだが、こうした生活快適性の延長線上に、強力
なコンセプトが出てくるだろうか。例えば、google
コンセプトやiPhoneのコンセプト、または任天堂
Wiiなど、いずれも、そうした思考の延長線上にはな
いはずだ。


はっきり言って、Youtubeは、「動画のポータル」を
作っただけ、とも言えなくはない。amazonだって、「
web上の本屋」を作っただけだ。要は、単純だけど、強
力なコンセプト、それが核としてあるかどうかだ。


もちろん、その核だけではだめだ。細かい部分の改善
が継続して起きるからこそ、人がきてくれるのだと思
う。


「おばあちゃんとのコミュニケーション」、これが強
力なコンセプトなりうるだろうか。なりえないと思う
。仮に「おばあちゃんとのコミュニケーション」がキ
ラーアプリだったと仮定しよう。そしたら、そこで勝
つためには他の代替手段に勝たないといけないのだ。


要は必要なのは、「なんとなく快適性のある未来」で
はなく、「強力なコンセプト」、それだけだろう。


もちろん、そんな簡単に強力なコンセプトを生み出す
ことはできない。でも、大切なのは自分たちの事業ド
メインにおいてそれを出していくことだろう。そこに
は自分たちのアドバンテージがあるのだから。技術の
蓄積であったり、顧客とのインターフェイスであった
り、そういうところから出てくるのだと思う。決して
企画の頭のなんとなくいい未来からは出てこないだろ
う。