新たな再編

会社の組織再編が発表された。新体制がスタートして、1年も経たない
状況での再編である。もちろんこうした批判はわかった上での組織再編
だろう。


おそらく、Oさんは全員の心が一体になった会社というのを夢みていた
のだろうが、Oさんにとってはともかく、会社というものが全員にとって
そうかというとそうでもない。もちろん、会社が夢を与える場であるこ
とにこしたことはないが、もはや会社という存在は、古き良きゲマイン
シャフト(共同体組織)ではなく、欧米がそうであるゲゼルシャフト(機
能体組織)となりつつある。Oさんが夢見ていたのは、ゲマインシャフト
の復興に他ならなかったのだろう。


そして、新たな組織再編となったわけだが、大きな目的の1つは権限委
譲である。でも、会社として立地が劣化している以上、そもそもこれは
権限の所在の問題ではないと思う。権限委譲だけで問題が解決するとは
思わない。


また、転地という言葉が何度も繰り返されるが、BUに権限を委譲する
ということは、そこに立地の制約が起こることになる。権限を委譲され
たとしても、BUはそこで結果を残すことが第一となるため、今ある立
地の中でなんとかしよう、というマインドにしかならないのではないだ
ろうか。


転地の事例として、P事業をあげているが、それにしても、転地という
よりは、ニッチに活路を見出したという言い方はのほうが適切ではない
だろうか。元々、負け組であった事業であり、市場のマジョリティでは
勝てないから、セグメントを絞ってそこで優位差を出したからこそ、成
功したといえる。


でも、多くの主要事業は、メイン市場で圧倒的な強さを誇っている事業
である。国内市場のシュリンクにより、いずれも利益が出せない体質に
陥っているが、P事業とそれらの事業はまた別である。そうした転地を
望むのであれば、それこそより高い視点から取組みことが必要だと思う