S社のBOP向けの商品

S社がBOP向け商品を出している情報があったので、ムンバ
イのとある展示会に行ってきた。


「イノベーティブな商品」と自ら言っていたが、ただのソーラ
ーLEDランプであった。一般的なランタンとの違いは、せい
ぜい形状がランタン型ではない、というぐらいだった。ベネフ
ィットとして、「灯油ランプがいらない」とか「電気の来てい
ない場所でも使える」と声高々に言っていたが、それらはラン
タンであっても同じことであり、何も目新しいものはなかった
。どんな面白いものが出てくるのか、という期待があった分、
残念であった。また、価格を聞いてみても、4500Rs近く
であり、とても商売が成り立つとは思えない。ディストリビュ
ーションチャネルを持っていると言ってはいたが、それが本
当に流通しているとは信じがたい。


ただやはり、インドのような国で事業を行う場合、BOPとい
うのは見過ごせない。実際にビジネスとして成り立たすのが
難しいまでも、CSR的な観点からも、BOPに取り組んでい
るというのが評価される部分もある。今回のS社の場合、そ
の後者の立ち位置にいると私は感じている。


このS社の例を見ても、そうなかなかイノベーティブなもの
が出てくるわけではないな、ということを再確認した。それ
こそBOPというのは、あっと驚くようなアイデアでイノベ
ーションを起こすというよりも、地道な努力を徹底して続け
ていくことの方が重要なのではないだろうか。それこそ、販
売チャネルを確実に広げるとか、コストを下げるとか、エデ
ュケーションを行うとか。結局、地力と本気度が問われるよ
うな分野だと思う。


まぁ、今回はS社のプレゼンを聞いてても、まぁ本気度は伝
わってこなかった。そうだとしても、何もやらないよりは、
BOPを見て、アクションを起こしているほうが何歩も先を
いっているのは確かだ。