古くなった理念

今日は、Oさん宅にお邪魔してきた。Hさんファミリーもやって
きた。そのときの会話だ。

Hさん:うちの会社の理念立派だ。日本にはたくさん企業がある
    が、こういう理念があるのはうちだけだ。
    これからの途上国に重要なのはこういう理念だ。
Oさん:フィリップスもそういう理念があるのでは。だから、
    フィリップスは途上国でBOPビジネスをやってる。
    うちはやっていないよね。



このとき思ったのだが、うちの会社の創業者はすごい。立派な理
念も作った。でも、それが現在でも有効かというとちょっと違う
ような気もする。


創業者が理念を作った当時というのは、まだ品質が十分でない製
品が世に出回ったり、労働者が搾取されていたり、多くの人が物
不足で困っていたりした時代だ。その時代背景の中で、あの理念
打ち出したからこそ、それが輝いたのだと思うし、差別化要因に
なりえたのだ。


時が経ち、現在でも私たちはその理念を掲げている。でも、品質
による差別要因がほとんどなくなり、世の中には物があふれてい
る、そして、多くの企業がほとんど変わらない状態となってきた
。そうした時代に変化した今、その理念自体はもはや差別化要因
にはならなくなったのだ。


たしかに、考え方としては普遍であるし、間違っているわけでは
ない。ただ、時代が変わった今それは差別化要因にはなりえない
し、その理念を掲げているだけでは、「ふんふん、普通のこと言
っているだけだよね」と思われるだけだ。その理念が人から賞賛
を得たのは、あの時代において、そうした革新的な視点にたって
理念を掲げたからであって、今の時代に、新しく起業する人間が
その理念を掲げたところで、なんらインパクトは持たない。


きっと、壮年期の創業者が今の時代に生きていたら、きっと違っ
た理念を掲げているはずだ。その意識が必要だと思う。