マザーハウスの山口氏講演

グロービスマザーハウスの山口氏の講演を聴きに行
ってきた。


特に印象に残ったのは2つだ。


1つ目は、「まだ何も実績がなかったときに、どんな
バングラディッシュの人に、このビジネスはあなた
たちのためになる、と言っても全然聞いてもらえなか
った。結局、バングラディッシュ人にとっては目の前
のお金が重要なのであり、途上国発のブランドなんて
いう理想論ではなく、実績を作り、バイイングパワー
(たくさん買えるかどうか)を持つしかなかった。でも
、それは相手のそうした環境であるということを理解
しないといけない。自分の理想はその実績のあとに、
そういう方向へ向かうようにしていけばいい。」


形は違えど、ものすごく共感した。こちらがどんなに
理想論を唱えたところで、何も実績がなければそんな
ものは聞いてもらえないし、ましてや、既存事業の中
でそのことを考え数十年働いてきた人に、全く異なる
価値観を押し付けてもそんなものは当たり前のことだ
が誰も耳を貸すわけがない。そこで重要なのは、相手
の意見から相手が悪いと考えるのではなく、環境がそ
うさせている、ということを理解しないといけない。
また、その前提を理解したうえで話をしないと、何も
話なんか進まないのだ。


もう1点は、副社長の山崎氏についてである。慶応大
学を卒業後、GSでアナリストをやっていたのだが、
その後マザーハウスに合流したのだという。そのとき
に、山崎氏が入社を決めたのが、「?楽しいから、?
山口の成長を見ていたら怖くなった」というものだっ
た。


たぶん、これが"実際にやっている"かどうかの違いな
んだと思う。どんなに本を読んだり、講演を聴いたと
ころで、自分で考えビジネスを動かしている人間の成
長度合いに比べればたかが知れているということだ。
ある意味、慶応卒のGS勤務となれば自他共に認める
エリートだろう、その人間が自分が置いていかれてい
る、ということを感じたのだろう。"実行する"という
ことはそういうことなんだろう。もしかしたら、その
"実行する"がTさんの言っていた変局点なんだと思う
。でも、その機会はどうやったら得るかといえば、結
局は自分で作るしかないのだ。