どの水準を目指すのか

ラム・チャラン氏の「徹底のリーダーシップ」での、
柳井氏の解説の一説。


「いい会社と悪い会社でやっていることは、表面上は
ほとんど一緒です。やるべきことも一緒です。何が違
うかといえば、どの程度までやるのか、どの水準を目
指すのか、それだけです」


まさしくその通りではないだろうか。やっていること
は同じであってもそれをどれだけ徹底できるか、とい
うことにつきるのではないだろうか。


例えば、研究所の人間に事業感覚をもっと養いたい、
としたときに、発表の場において毎回アドバイスをす
るのか、それとも、普段からグループ長に徹底して同
じことを言い、日常的にそうした言動があふれるよう
にするか。


方針に従わないテーマをばっさりとやめるのか、それ
とも方針から外れていても昔からやっているものはそ
のままなんとなく残しておくのか。


そういうことなんだと思う。要は規律をどれだけ高く
保てるか、というところだろう。規律とはガチガチな
ルールでしばるというのではなく、自分たちが守るべ
き原則をどれだけ守れるか、というところだと思う。
その守れる度合いが、本当のカルチャーを生み出すん
だと思う。


サッカーでいうのであれば、意図的な攻撃ではなく、
スタンドプレーであってもそれをよしとするのか、そ
れとも個人技でゴールを量産したとしても、チームの
方向性としなければ決してそれを評価しない、という
ようなことだと思う。


こういうふうにしていったときに一番タチが悪いのは
それこそ中途半端な規律だと思う。中途半端ではある
が実践しているので、その人は、「私はその通りやっ
ています。」と言い切ってしまう。だから、もはや改
善の余地がなくなってしまう。


例えば、A社とB社がある。A社もB社も「お客様第
一主義を抱えている。」A社の社長はいつもお客様の
ことを口すっぱく言っているが、必ず最後は、「売上
げを上げろ」となる。一方、B社の社長は、「売上げ
ではなくお客さんにいかに喜んでもらえるかを考えろ
」と言い、それを実践している。さて、結果は...。
A社もB社も同じことを掲げているが、結果は大きく
変わるはずだ。これがどの水準までやるか、っていう
ことなんだと思う。