いつも見ているけど気付かない

Nさんと読書会に行ってきた。そのときにKさんの話に
なった。


Kさんはだいたい50才代前半ぐらいの人。仕事として
は一人でテーマをもってやっている。いつも席にはい
るのだが、何をしているのかよくわからない。言い方
は非常に悪いが「出世街道を外れた技術者」といえる
かもしれない。


そのKさんについて、Sがこんなことを言っていた。
「この前の飲み会のときに、Kさんが僕なんかはいつ
仕事をやめてもいいと思っているから、って言ってた
んだけど、あんなふうにはなりたくない」と。


それを聞いたNさんが憤りを感じていた。要はKさんの
ことを知りもしないのに、そうした人をバカにするよ
うな発言は許せない、ということだった。


さらに最近、Nさんはふと気付いたということがあっ
た。いつもプリンタのところに行くのにKさんの前を
通っているのだったが、ふとKさんが1人で仕事をし
ているということに。仕事自体も1人でやることも多
く、部署でもヘタしたら1日誰とも話さずにすごす日
があるかもしれない。Kさんがどういう思いで仕事を
しているのか、Nさんはそれに気付いたのだという。


別に直接的に仕事に関係しなくても、「最近、どうで
すか。」などと声をかけることだってできる、でも、
Nさん自身も半年、ヘタしたら1年ぐらい話をしてい
なかったという。


Nさんはそういうことにふと気付いたのにも関わらず
、若手がKさんのことを小ばかにしているようなこと
が許せなかったという。


でも、僕自身もSたちとたいして変わらない。僕はN
さんのような見方は全然できていなかった。むしろ、
「Kさんは誰とも交わろうとせず、いつも机でなんか
しているけど、楽しいのかなぁ」ぐらいの感覚だった
。Kさんに非があるというような見方しかできていな
かった。Kさんがどれだけ孤独を感じているか、そう
いう見方を一切できていなかった。


NさんはSのことを許せない、と言っていたが、でも
、僕はこれは極めてコミュニケーションの問題だと思
っている。


結局、コミュニケーションが少ないから、人をそうい
う目線でしか見れなくなってしまうのだと思う。もし
、例えば、Kさんがものすごい夜の遊びが得意で、い
ろいろなお店を知っていたとしたら...。たぶん、Sは
「Kさんすごい人だぜ、俺らとはレベルが違う、まじ
尊敬する」なんて言っていたと思う。実際にKさんが
そうかどうかはわからないが(たぶん違う)、でも、
それってKさんを知っているかどうかの問題なんだと
思う。


そういう意味でも仕事を離れた部分でのコミュニケー
ションをもっと増やしていかないといけないだろう。
それと同時にそういうコミュニケーションがたぶん
一見無関係だとしても、仕事にベネフィットをもたら
すようになるのだと思う。つまりこの問題については
世代を超えたコミュニケーションをいかに増やすか、
というのがキーになると思う。別にそれがただの飲み
会であってもいいと思う。


でも、毎回同じ景色を見ていてもそれに気付くかどう
か、これが大きな違いを生むんだろうな。