すでに起こった未来

P.F.ドラッカー氏の「チェンジリーダーの条件」を読
んでいて、興味を引かれたのは「すでに起こった未来
」だ。未来を予想することはできない、そうではなく
すでに起こった未来があるだけだ、ということなのだ



ドラッカー氏は、特にその一つの例として、人口動態
をあげている。高齢化社会の訪れや、少子化の加速な
どはすでに生まれている世代を目にすれば、今後どう
なるか、ということは自明だというのだ。また、紆余
曲折はあっても、途上国が今後、成長を遂げていくで
あろうことも疑う余地はない。そうした、「すでに起
こった未来」に着目することで、未来を見通すべきだ
、ということだ。


また、具体的にどこに「すでに起こった未来」を探す
かという点で以下の5点をあげている。?人口構造、
?知識の領域、行動科学の進歩、心理学の学習理論。
?他の産業、他の国、他の市場。テレビの農家の例。
?産業構造。?企業の内部に見つけられる。企業内の
摩擦。


これをもう少し自分なりに解釈してみた。まず、タイ
ムマシーン経営なんていうのは、?に関わるような内
容だと思う。全米○○大ヒット上陸、なんていうのも
そうかもしれない。クリスピードーナッツなんかもこ
のたぐいではないだろうか。


一方で、例えば、家庭のヘルスケアがどうなるか、と
いう点に着目すると、「すでに起こった未来」はどこ
にあるかというとそれは病院にあるように思う。血圧
計なんていうのは、医者が使っていたものを家庭用で
も使えるようにしたのだ。そもそも、病院で血圧計を
使ってなければ、家庭用血圧計なんてジャンルは生ま
れなかっただろう。でも、体脂肪計なんていうのは、
ちょっと違う。病院ではまったく重要視されない指標
であるにも関わらず、コンシューマの間では体脂肪が
一般的な指標ツールになっている。


また、もはやそれでは遅いがイノベータに着目すると
いうのも一つだ。自分が学生時代は、世間よりも早く
googleをデフォルトツールとして使っていたし、日本
語版ができる前にSNSに登録もしていた。まさかそれ
らがその後、そんだけ化けるとは想像もできていなか
ったといえる。また、ネット上で日記を書いている人
がいれば、それはブログにとっての「すでに起こった
未来」なんだと思う。


そう考えると、ネット上で体重管理、なんていうもの
にしても、それが未来に当たり前になるのだとしたら
、もっと手書きで体重管理をしている人がいてしかる
べきではないだろうか。もしくは、web上で単に体重
を自分で入力してグラフ化するサイトが人気が出てい
るべきだと思う。それらがあれば、自ずとネット上で
体重管理、なんていうのは一般化するはずである。


それと、Rなんかについて言えば、あれは「すでに
起こった未来」が目の前にあるといっていい。それ
は、Jが失速したこと、RRが全然売れないこと、
他社のSにしても、Rにしても全然売れていないこ
と、その「すでに起こった未来」を見れば、この先
どうなるかというのはある程度見えるような気がす
るのだが。


ちなみに、そのものズバリで、「すでに起こった未来
―変化を読む眼」という本が既に出されていた。って
いうか、一度読んだような気もする。でも、こういう
ふうに改めて「すでに起こった未来」に着目して読ん
でみるとまったく得られるものが変わってくるように
思える。もう一度読まないと。