テーマの判断

研究所にはいろいろとテーマがある。基本は、やりた
いことをやる、というスタンスだ。まぁ、だいたい30
代も半ばぐらいになってくると、1人でテーマ運営をや
ってみたら、ということになる。そこで何かテーマを
与えられる場合もあれば、自分でネタを探してくる場
合もある。どっちのほうが割合が多いかはよくわから
ないが、どうだろう。


自分でネタを探すとなると、これが一番大変だ。まぁ
だいたいが「自分のやってきたこと」と「研究室の方
針」から方向性を決めて、それで論文(ときには特許)
を読む、という作業が中心となる。


そうやって論文を読んでいると、まぁ、なんとなくこ
れはうちの事業ドメインにもあっているし、強みも生
かせそうだし、新規性がありそうだ、というものが見
つかってくる。そしてそれをキーにさらに調べていく
ということになる。


その結果、なんとなく絵がかけそうだったらテーマを
やる、ということになる。あとは、周りの人間は、「
あなたがそう思うならいいんじゃない」というような
スタンスだ。


結局、いいテーマ、悪いテーマの判断は何もない。確
かにまだ何も始まってもいないものを、いいor悪いと
判断するのは間違っている。僕が言いたいのは、もっ
と大きな括りでの判断の軸が必要だということだ。例
えば、その本人が本当にそれをやりきれるか、どうか
、つまりはその人が本当にそれをやりたがっているか
どうか、という見方をするというのもその一つだと思
う。


それと、僕が思うのは、顧客重視のR&Dであるかどう
かという観点だ。要は論文を読んで何となくこの技術
いけそうだ、というのは顧客重視でも何でもない。実
際に現場に出て、その問題を認識し、それをどうにか
解決しようというのがその一つのパターンとなる。


そう考えると、NさんのテーマとOさんのテーマでは、
その動機が大きくことなる。Nさんのテーマは顧客の
ベネフィットを追求していった結果出てきたものだが
、Oさんのテーマは技術オリエンティッドなものだ。
だからではないが、Nさんのは苦境に立ってもそれの
意義を感じるからこそ耐えることができる。でも、O
さんの場合は結局は自分次第だからそれを支えるもの
がない。だからつらくなったときにくじけそうになる



お客様の役に立てるっていうのは何よりもモチベーシ
ョンの源になるのではないだろうか。(人によっては
違うのだが...)


もし、そういう方向へシフトしたいのであれば、やっ
ぱり何がいいテーマで何がよくないテーマなのか、と
いうのを示す大きな判断の軸が必要だと思う。それを
メンバーが理解することでそういう方向へのシフトが
可能になるのだ。それをしないで、「お客様のことを
考えろ」と口で言っているだけでは、結局、玉石混合
のR&Dにしかならない。むしろ、それで「玉」が出て
くればよいのだが。