その前に議論すべきこと

新しい技術プラットフォームとは言っているものの、
その前に議論すべきことがある。


他の製品もそうだが、例えば商品Vをどうしてうちで最
初にやることができなかったか、ということだ。言っ
てしまえば、どうしたらうちの会社はその技術に気付
くことができるようになるか、ということだ。


他社は5年以上前からその重要性に気付き、そこに研究
リソースを投入していた。一方でうちは、それが世間
で話題になるようになってからでさえも、事業化に二
の足を踏むような状態なのだ。G長ですら、「まだまだ
先の技術だ」というぐらいなのだ。今でも忘れない。G
長とかになってしまうと、そういう感度に自ずとなっ
てしまうのかもしれない。


ちょっと話は脱線したが、そういう部分で変えていか
ないと結局今までと同じになってしまう。要は探す対
象を問題にするのではなく、探し方自体に一旦視点を
ずらしてみようよ、その探し方でいいの?というのが
僕が投げかけたいことなのだ。


ただ、本当に10年後を考えるのであれば、探すべきも
のは結局寄せ集めのメンバーからは出てこないように
思う。ボトムの人間が、「これは10年後絶対に来る!
」と直感的に思っているようなそういう技術にトップ
から降りていかないとダメだと思う。そうじゃないと
世の中のトレンドを出して、その中で自社の事業ドメ
インを考え、そこで「あったらいいな」みたいな技術
を絵に描いて終わってしまうと思う。


到知5月号に、元帝人の相馬和彦氏と元花王の今村哲也
氏の対談がのっていた。その中で、相馬氏が、新聞の
小さな記事を見つけて、「次はブルーレイだ」といな
り、ブルーレイの開発を他社に先駆けて行うことがで
きた、と書いてあった。


一方で、うちのOさんはついこの前日経に大々的に出て
いた野菜工場の記事を読んで、うちもこういうのやら
ないと、などといっていたという。そもそも新聞に大
きく取り上げられるぐらいになってからやりだしても
そもそもが遅すぎる。つまりは、こういう探し方はや
っぱりあまりよくないですよ、というようなコンセン
サスをもったらいいと思うんだ。


でも、結局、そういうネタは現場にこそ転がっている
はず。


いずれにしても、そうやって新事業を模索はしてい
るのだが、僕自身、新事業のあり方というのは、こ
んなふうにやるのが一番いいと思っている。代替す
べきあるものが既にあるのだが、それを自社の強み
でやると、もう少し上手にできます、というような
ものだ。


だから、「うちの強み」というものを本当は再確認し
ないといけないのだが、それができない、というか、
そもそも「うちの強み」なんかないんじゃないか、と
いう気がするのだ。


結局、経済成長をしていたときに、他社が出したもの
をマネして作り、それをブランド力と営業力によって
売ってきただけだ。それが通用しないからこそ、今壁
にぶちあたっているのだろう。


まずはこういう状態だという危機感の共有があってし
かるべきだと思う。それがなければ過去の延長線上で
しかものごとを考えられなくなってしまう。