組織が事業を規定する

本当はタイトルを「事業部が事業を規定する」としよ
うとしたのだが、「組織が事業を規定する」とした方
がしっくりきたので、こちらに変更した。


結局、組織の壁を超えろとトップが言ったところで、
事業というのは組織に規定されてしまう。つまり、既
存の事業部という枠組みがあったら、その事業部はそ
の枠組みの中でいかにパフォーマンスを上げるかに焦
点を当てなければならない。新事業をその事業から派
生して起こさせたいのであれば、?組織を別に作る、
?組織を拡大解釈する、のどちらかが必要だ。?なん
かは、新事業プランコンテストのようなものを社内に
設けることを言う。自発的に新事業を考え、既存組織
内ではできない箱を外に作れるような仕組み作りをす
るのだ。?についていえば、例えば、車のシート事業
から車の座席事業へ転換する、というようなことだ。
これまではシートしか作ってこなかったが、座席全て
を提供できるように発展させる。


さて、何が言いたかったかというと、規定された枠に
対して、規定外のものをもっていったとしても、それ
はやらない、ということだ。では、どうしたら規定外
のものをやってもらえるか、それは上の2つの手段を
とるしかないということだろう。


逆にいうと、事業部を作る、というのはその事業にコ
ミットするというのをトップが決断したといえる。こ
れは大きなメッセージだろう。富士フィルムの化粧品
事業なんかはその一例ではないだろうか。シーズがあ
り、本気でその事業を伸ばしたいと考えたからこそ、
こじんまりとやるのではなく、枠組みを作ったのだろ
う。そして、化粧品という枠組みにしたことで、その
裾野を広げることもできるし、発展性もある。


また、話がちょっとずれるが、既存事業の中でこのま
まではダメだという危機感を持つ人は既存事業を否定
する。しかし、既存事業は既存事業の延長線にしかゴ
ールを求めないので、既存事業を否定してしまったら
その枠組みでは決して評価はされない。そういうはみ
出しものがあつまったら面白いことができると思うの
だが、その仕組みは全然ない。そういう人材を救うよ
うな仕組みを作るのが人事の本質的な役割のような気
がする。