鱗収集機

大前研一氏の「「知の衰退」からいかに脱出するか?
」を読んだ。


「知の衰退」という切り口からこうして日本を眺める
と、うまく説明がつくことがよくわかった。また、氏
自身のもどかしさ、というのがすごく伝わってきた。
たしかに、今後、直面する経済危機以上「知の衰退」
の方が本質的には危機だと思う。経済危機の後にどう
いう世界が待ち受けているか、それは、この「知の衰
退」に対して何ができるか、というところにかかって
いると思う。氏はそのために今は教育を行い、その中
から1人1人に変わってもらいたい、と主張している。


例えば、こういうのを読んでぬるま湯の中にいる人間
はどう感じるのだろうか。もしかしたら、というか、
そもそも自分がぬるま湯の中にいることさえ気付いて
いなければまったく端にも傍にもひっかからないかも
しれないのだが。それを訴えていくのがリーダーの役
割の一つなんだろうなぁ。


とそれはさておき本題とは別に非常に興味を引かれた
部分があったので、引用する。


「鱗捕集機」をつくって「目から鱗」と思ったときは
、それを集めておきなさい、と指導している。そして
半年後にこの「鱗捕集機」を開けてみて、「なんだ、
私はこんなことに驚いていたのか」と思えば、それが
進歩している証拠だといっている。


これは自分の成長を考える上で、非常に有用だと思う
。たぶん、3ヶ月に一度、自分の履歴書を見直す、とい
う活動がこういうことなんだろう。でも、自分として
はこの鱗捕集機というもののほうがピンときた。確か
にたまにノートを読み返したりしたときなんかに、「
なんでこんなことで...」みたいな気づきに感動して
いたりするわけだ。たぶんこういうのが成長の一つな
んだろう。特に、目に見えるスキルだったら棚卸しや
すい。マーケティングの知識、プレゼンのスキル、と
か。でも、モノの見方、だとか、問題解決能力、人生
観、などといったものは極めて目に見えにくい。要は
竹中方式で言えば、「天井のない勉強」という部類に
入るものだ。そもそも自分が成長しているのか退化し
ているのかもわからなくなったりする。僕の場合は、
気付きをメモするのだが、そういうメモが少なくなっ
てきたときとかブログに書くネタが少なくなってきた
ときなんかに、成長してないかも、と思ったりする。
まぁ、それが自分の成長を感じる一つの指標となって
いたわけだ。それはたぶんフローで流れている部分で
感じるものであり、もう一つはこのストックに対して
みる、というのがあるんだと思う。それが鱗捕集機の
話なんだろうな。これは成長の指標という観点で、と
ても大きな発見だった。