適切なスコープ

Nさんは今のうちの組織に不足しているのは圧倒的に、
プロトタイプを作る能力だ、と言っていた。要は技術
的スキルということだ。もちろん、それについて異論
はない。その通りだと思う。でも、それだけで今の組
織が活性化されるとは到底思えない。僕は根本的に欠
けているのは、適切なスコープだと思っている。


要は今の状態っていうのは、何をしていいかわからな
い状態なのだ。何をしていい、というのは逆に言えば
何をしていいかわからない、ということを示している
。だからテーマの筋が思わしくなくても、他に何して
いいかわからないからそれにしがみつくしかなくなる



大切なのは、何をするのかの適切なスコープを用意し
てあげることだと思う。それさえあれば、後はみんな
優秀なんだから自分で動けるはずだし、自分で動き出
せば自ずとスキルも身についてくるはずだ。


では、適切なスコープとは何だろうか。
例:
狭すぎるスコープ:○○ター
適切なスコープ :○○を軽減する装置
広すぎるスコープ:今の研究室


この例でいうと、○○ターというテーマは結局その狭
い範囲でのスコープしかなかったから息詰まったとき
に他にもっていきようがなくテーマが消滅してしまっ
た。もし、もう少し大きいスコープを用意することが
できたら、例えば、H社で最近商品かされたような商
品も自社でできたかもしれないのだ。


あの○○ターをやっていた、Gさんに「Gさんが○○タ
ーをやっていたときに、どうやったらH社のようなア
イデアを出すことができましたか?」「もし当時、H
社のようなアイデアをGさんが出したときにそれはテ
ーマになると思いますか?」「今現在、もしH社があ
の製品をやっていなかったとして、そのテーマを今
のうちの研究室がやるべきですか?」と聞いたらどう
いう答えが返ってくるだろうか。こういうところに、
本質が隠れているのだと思う。


こういう改革をしない限り、場当たり的な研究にしか
着手できないし、極めて個人に依存したテーマにしか
ならない。