営業本部からのニーズ

事業部制の問題として、開発・生産の声が強くなり、
必ずしもお客様の声が反映されなくなる、という問題
がある。これを解決する手段として、営業と開発・生
産を分けるという手段がある。さらに営業に買い取り
責任を持たすと、営業としても在庫を抱えることにな
るから、開発・生産からの押し付けをはねつけなけれ
ばならなくなる。


さて、そうやってより市場の声が反映されやすい体制
にはなるのだが、やっぱり組織は万能ではなく問題は
発生する。それは育てる商品が生み出せなくなること
だ。要は最初は需要があるかどうかよくわからず、と
りあえず売れなくてもいいからまずは足場を作りたい
と開発側は考える。もしかしたら化けるポテンシャル
は持っている商品だ。でも、目先の利益を厳しく問わ
れる営業は、そうした製品を抱えることができない。
ましてや売れない商品などは受け付けられなくなる。
そうなると、最初は売れなくても少しずつ足場を作っ
ていこう、という発想でのものづくりができなくなる
。結果、既存の市場がある製品、他社の売れてる製品
、そんなニーズしか開発側に伝わらなくなる。


もう1つ問題なのが、結局営業の立場でのニーズしか開
発側に反映されなくなる、という点だ。要は営業側か
らしたらいかに自分たちの利益になる商品を作っても
らうかというのが重要になる。そうなると、"自分たち
の相手にしているお客さん"のニーズを何よりも優先さ
せるだろう。そうなってくると、それ以外のお客さん
は決して見えてこないということだ。もしかしたら、
全然違うルートにお客さんがいるかもしれない。でも
、営業にそういう視点は出てこない。


では、誰がそういう新しいお客さんを見つけるのか。
組織体制だけからしたら、そういう人はいない。そこ
が問題だ。もちろん、顧客のニーズに答え続けること
は大切だ。でも、その対象とする顧客がシュリンク
ている状態では必ずしもそのスローガンは正解ではな
いと思う。