MBAによる経営

MBAによる経営とはどういうものだろうか。たぶん、株
主価値絶対主義のような考え方になるのではないだろ
うか。つまりは、企業価値を高めるために何をすべき
かというような考えだ。


得てしてそれは目先の利益としてうつる。だから、リ
ストラして事業をスリム化させ、ムダな贅肉をそぎお
とし、利益率を上げるような経営が好まれる。たしか
に事業のリストラクチャリングは必要なことだ。でも
、それによって失ってはいけないものまでそぎおとし
てしまったりする。一方で、売上げ拡大となったとき
に何をするかといえば、M&Aだ。要は、極端に言えば
ビジョンに基づき、不要なものは売り払い、必要なも
のは買ってくるという経営になる。


株主価値の最大化はもちろん必要なことだ、でも、そ
れに捉われるあまりに長期的な視点が失われかねない
。それが失われたときに誰がその責任を担うのであろ
うか。もちろん、最後に責任をとるのは株主だ。でも
、株主が果たしてそこまで見据えることができるのだ
ろうか。


要は、こうした経営が何をもたらすかというとシステ
ムだ。つまり社内の事業をシステマチックに動かして
初めてものごとが成り立つ。そうなると、不要なもの
は何か。それはシステマチックでないものだ。つまり
効率の追求はそこにはあるが、非効率なものは不要な
ものとなってしまう。でも、経営において必ずしも非
効率なものが不要かといえばそうではない。インテグ
ラルなものづくりにはそうしたシステマチックでない
部分のあうんの呼吸のようなものが必要になってくる
し、イノベーションを生み出そうと思うのであれば、
なおさら不確実性に挑まなくてはいけない。でも、そ
れをシステムに求めてしまっては決してパルプンテ
生まれない。


さて、もう一つ大企業の経営を考えるとかならず、リ
スクの最小化ということが言われる。既に作ったシス
テムがうまく回り続けるように不確実性を最小化させ
るのだ。だから爆発的に伸びることはないが、常に安
定成長を目指す。だから、基本的には大企業の株を買
う人は、売却益を求めるというよりはその配当を求め
るのだ。


では、そこでMBAで学んだことは生かされるだろうか
。これに関しては何とも言えない。もしかしたら、リ
スクをとらずセオリー通りの経営をするのであれば、
必要なことかもしれない。


でも、僕が目指したいのはそういう経営ではない。大
企業であろうとも、常に新陳代謝して、自己否定でき
るような組織だ。そのためには、非効率な部分、不確
実性な部分を残していく必要があると思う。そうでな
ければ、今の会社なんかはそれこそバラバラにしたほ
うが効率がよいのだから。