ある研究所の若手Aさん

これは作り話です。


世の中は競馬と麻雀とコンパと修論(卒論)が全ての学
生さんAさんは大手メーカーに新入社員として入社し
ました。もちろん、新聞も読まなければ(「そんなのY
ahoo!!Newsで十分だぜ、でも、FXとかやるから経済知
識ぐらいは知っとかないとなぁ...。」)、本なんか読
みもしません。


Aさんは研究所に配属され、その後、3年間、凡庸な上
司Bさんの下で、たいした芽も出そうにない苦しまぎ
れの研究テーマに取り組んでいます。そのテーマには
上司のBさんとAさんの2人しかいません。


上司のBさんは、技術者として仕事をしてきて、それ
なりの経験はあるものの経営的感覚などはほとんどあ
りません。また、Bさん自身、本なんて読まなければ
、Aさんとたいしてコミュニケーションもとりません
。まぁ、それでもBさん自身悪い人ではないし、飲み
会に行けば共通の阪神の話題で盛り上がるので、それ
はそれでAさんとは仲良くやってます。


研究テーマ自体、一応、とってつけたような将来像は
あるし、何となくテーマは進んでいるように見えなく
もないので、Aさんも特に疑問を抱くことなく、自分
の仕事を推進しています。


Aさんの研究室は各人がばらばらのテーマに取り組ん
でいるので、お互いが何をやっているかは、テーマ名
ぐらいしかわかっていないのが現状です。なので、A
さんのテーマの本質的問題を把握している人はAさん
とその上司Bさんぐらいしかいません。ただ、Aさん
は目の前の仕事が忙しいこともあり、「なんとなくこ
の研究テーマうまくいかないんじゅないかなぁ」と思
っているぐらいです。上司のBさんは、このままやっ
ててもうまくいきそうにはないけど、テーマがなくな
ると仕事がなくなってしまうので、なんとかごまかし
、ごまかし、テーマを延命させています。


かといって部署自体は安全懇談会や飲み会、年何回か
ソフトボール大会などもあり、みんな仲良くやって
います。Aさんも部署には溶け込んで、結婚式にも多
くの人に来てもらったりしました。部署には、研究所
では珍しく意識の高いD課長がいます。でも、Aさん
はDさんとも意気投合しますが、内容はいつも阪神
成績についてです。仕事上で、Dさんとの絡みはあり
ません。


一応、Aさんのテーマは大学のC先生と共同研究を行
っています。C先生もある程度名の知れた先生ではあ
りますが、基本的には上司のBさんとの長年の付き合
いもあり、共同研究を行っているような感じです。


また、Aさんの周りの同期はみんなだいたい同じよう
な感じです。たまに飲み会で同期が集まれば話題は結
婚と次のコンパ。


というわけで、実質的にAさんが、"仕事で"人と関わ
るのは、上司のBさんと大学のC先生ぐらいです。あ
とは試作を依頼する業者さん、たまに事業部の人に話
を聞いたりするぐらいでしょうか。


Aさん自身はまじめな性格で与えられた仕事も上司の
Bさんと相談しながらきちんとこなしていきます。少
しずつですが、設計スキルなんかもついてちょっとは
成長を感じています。でも、相変わらず本も読まなけ
れば、仕事上接する人も変わりません。同じようなメ
ンバーと同じような飲み会に行って、同じような話題
で盛り上がっています。そんなこんなでAさんは会社
生活5年がすぎました。




さて、こんなAさん、意識が高くなることなんてある
でしょうか。作り話だけど。