ビジョンがあればこそ

昨日に続いて、ライフネットの出口氏の話題なのだが
。今日は出口氏とのメールのやりとりについてだ。ラ
イフネットの出口氏にメールで2点質問していただいた



1つ目は、本を紹介してほしい、というものだ。
「ご自身を活字中毒とおっしゃられておりましたが、
出口様の推薦される本を10冊程度ご紹介いただけない
でしょうか?以下のような切り口で考えていただけた
ら幸いです。」


2つ目は、大手生命保険会社を変えることはできたのか
、というものだ。
「もし、出口様が日本生命で社長になっていたら、ど
のような打ち手をとられていたでしょうか? 講演の中
で、既存生保のとりうる手は、
1.他のこともやる
2.海外に出る
3.事業を転換する
の3つしかない、とおっしゃられていました。「ネット
上で生保」というのは3にあたると思いますが、私自身
、既存の生保というDNAでは、3は一番難しいことだと
考えております。また、出口様の取り得る手による勝
算はどう考えられますでしょうか?」




1つ目の質問についてはコメント付で10冊ほどご紹介い
ただいた。どれも自分の日常の切り口では絶対に出会
わない本だったので、本当に嬉しかった。自分が読み
こなすにはまだまだ相当のハイジャンプが必要になる
のだが、それでもぜひチャレンジしたいと思う。


さて、2つ目の質問だ。これについては、「拙著「生命
保険入門」岩波書店、p140をご覧ください。」と
だけ回答があった。著書も読まずに質問をした自分が
とても情けなく思った。大きく反省。


とりえず、出口氏の著書である「生命保険入門」と「
生命保険はだれのものか」を2冊読んだので、その感想
だ。


そもそも僕の問題意識としては、レガシーシステム(セ
ールスパーソンシステム)を変えることは、それ自体が
企業のDNAである以上、その企業自身が変えることはで
きない(とてつもなく困難)ではないか、という点にあ
った。


ただ、それは「生命保険入門」を読み、必ずしもそう
ではない、ということを感じた。P140に書いてあった
、発展シナリオというのはまさに"ビジョン"であると
思った。結局のところは、どれだけ変革を叫んだとし
ても、ビジョンがなければ決して変えることはできな
い、逆に言えば、ビジョンさえあれば変えることは決
して不可能ではない、ということなんだと思う。私の
問題意識は"変えること"だけに焦点があたっていた。
しかし、出口氏の著書を読み、"それだけでは不十分で
、ビジョン"があることで初めてその変革が成し遂げら
れるのだろう、とういことを痛感した。


最初に、「もし出口様が日本生命の社長だったら...」
という質問をさせていただいたが、結果的に、著書に
書かれていたことは、私が想定していた回答を凌駕す
るものだった。そうした意味ですごく刺激を得られた
と思う。同時に、自分の浅はかさを痛感した次第だ。


さて、これは私見だが、生保のレガシーシステムが「
セールスパーソンシステム」であるとしたら、電機メ
ーカー(特にパナソニックかしら)にとっては、「工場
(ものづくり)と販売網(ナショナルのお店)」であると
捉えている。販売網(ナショナルのお店)は、量販店に
とって変わられ、自然淘汰されたといえる。


残りは「工場」だ。現在は、その工場(プラズマパネ
ル、液晶、etc...に磨きに磨きをかけて脱皮を図って
いる、という状態だと思う。ただ、私としては、工場
の脱皮が解である事業とそうでない事業があると思っ
ている。また、他にも解はあるはずだと感じている。
まだまだ出口氏のような明確なビジョンはみえないが
、試行錯誤を続けていいかないといけない、と思った





「生命保険入門」と「生命保険はだれのものか」の両
方を拝読したが、「生命保険入門」の方が、よりその
執念が伝わってきた。(本の目的自体が異なが)出口氏
日本生命から子会社の大星ビル管理会社というとこ
ろにに移られたときに、自分の遺書として著したもの
だ。そのときの出口氏の思いは私のような経験の浅い
人間にとっては到底想像にも及ばないものだと思う。
これだけの人なのに...なぜ、という思いしか、僕に
は考えようがない。日本生命自体そういう会社になっ
てしまっていた、ということだろうか。




それにしても、こうして見ず知らずの人間に対して本
当に誠実に接してくださった出口氏には本当に感謝で
ある。僕自身もこういう誠実さだけは絶対に持ち続け
たいと思う。それがきっと正しいことなんだと信じて
いる。