成長余地を生み出すために

だいぶ前に、Tさんにベンチャーと中小企業の違いは何
かと聞いたところ、「成長意欲があるかどうかだ」と
いう答えが返ってきた。たしかにそうだなぁ、と思い
納得していた。


でも、実際には成長意欲もそうだが、事業のスコープ
というものが大きく違うように思われる。つまりは、
コンセプトの広がりということか。僕のもつイメージ
では中小企業ではヒット商品である種事業が成り立つ
。それが唯一あればまぁ会社としては存続するという
ものだ。一方で、ベンチャーを自称するならばそれで
はダメだろう。ベンチャーが目指すべきものはヒット
商品ではなく、可能性を伸ばす事業であるべきだ。


なんでこんなこと考えたかというと、例えば、グロー
ビスの堀氏なんかは当初は渋谷で一部屋を借りてそこ
を教室にしてグロービスをはじめた。そこがいまや、
国内有数のビジネススクールへと成長した。もちろん
成長のきっかけはあった。たしか前に講演を聞いたと
きはNTTから研修を請け負ったのが大きかったとおっ
しゃられていた。でも、ヒット商品とかそういうもの
とは違うと思う。結局あったのは、アジア一のビジネ
ススクールを作る、というそのコンセプトと堀氏の情
熱だけだったように思う。そのコンセプトがあったか
らこそ、次に何をすればいいかがわかるし、何が課題
かもわかるんだと思う。それが成長の余地になってい
るんだろう。


同様に、松下幸之助氏もそうだろう。販売店網に家電
製品を流す、というコンセプトがあったからこそ次から
次へとそこのネットワークに流せるものを作ればいい
。そこに成長余地があったのだ。でも、松下幸之助
の場合は、起業のきっかけは二股ソケットという商品
であり、電気の世界という漠然とした構想しかなかっ
たが、商売のプロセスの中でそこまでの構想力を描け
るように成長したのだろう。


では、中小企業がどうなるかというと結局、ヒット商
品しかなければその後が続かない。その後どうしてい
いかがわからなくなる。それはその商品、事業をどの
スコープで捉えるかで大きく変わってくるのだ。例え
ば、前にも書いたが、フロッピーディスクを作るのか
、記録メディアを作るのか、というのは同じものを作
っていても捉え方が大きく変わるものだ。


では、起業が成長するために必要なものは何だろう、
となる。きっとそれは次の2つになるだろう。
・コンセプトの大きさ
・誰もやっていない


それを一番よくあらわしているのがgoogleだ。あらゆ
る情報を整理する、というのは途方もないコンセプト
だし、かつ、そこは誰もやっていない領域だ。だから
彼らは成長することができるのだ。一方で、それを情
報の検索、というくくりで事業をみてしまうと、あと
ポータルサイトの充実、とかそういう課題設定しか
できなくなるんだと思う。


だから、目指すものはヒット商品ではダメだ。ヒット
商品を目指していたらそれで終わってしまう。もちろ
ん、第一歩はそれでいいと思うが。その先にいったい
どれだけ広いものを見出せるかが、"やること=成長余
地"を生みだす鍵なんだと思う。


それにも関わらず、一気に自分の所属しているところ
に飛ぶが、「第2のヒット商品○○を作ろう」なんて
ことを言っている。そんなのを言っている間は、結局
、それで終わって、その後どうしよう...になってし
まう。Nさんが他の人と違うのはそこなんじゃないだ
ろうか。直近のアプリケーションとして何をやってい
いかはよくわからないものの、その語るスケールのが
大きいこと、それがNさんの特徴だと思う。


そして、コンセプトというのは決して技術だけではダ
メだと思う。「創って、作って、売る」それらが全て
リンクして初めて事業が成り立つのだ。プッシュ型の
製品をどれだけ出したところで、結局、事業のコンセ
プトができなければ売れない商品で終わってしまうは
ずだ。