社長にメール

社長のブログが更新されていた。内容は、不況だから
こそ、身の回りをきれいにしよう、他社を叩こう、と
いうものだった。プライオリティも何もない一般論を
並べただけなのだが、最後に「私が今言いたいことの
主なものはこの2つです。納得してくれたでしょうか。
納得してくれたなら、実行してください。納得しない
なら、私に直接、メールをください。返事を送ります
から。」と書いてあった。


さて、何人がメールを送るだろうか。少なくとも、「
納得しない」と目上の人間、ましてや社長なんかに言
うのであれば、よっぽど強くそれを思っているか、も
しくは、社長が聞いてくれるという信頼感があるか、
のどちらかしかないだろう。


つまりは、そういう不満ではないが、意義を唱えたと
しても、この人なら信頼していえる、というものがあ
って初めてそういうメールが送られてくるのではない
だろうか。


そういう意味で言えば、「メールを送れ、俺は返事す
るぞ」なんていう前に、「どんな悪い内容でメールが
来たとしても、私はそれであなたを叱ることもないし
、公にすることもない」と宣言することだと思う。そ
してそれを実際に行動で示すこと。それがあって初め
て末端からメールが届くようになるんだろうと思う。


さらに言えば、末端からのメールというのは自分が気
付かない新たな発見をさせてくれるものだ。むしろ、
それは社長自身にとって価値あるものになるはず。で
も、社長の文面を読む限りは、「俺はお前が納得する
まで説明してやる」という感じだ。決して、「末端で
感じることはどうだろう」なんてことではない。そう
いうマインドである限りは現場が何を言ったとしても
響かないだろう。




この前のグロービスでのライフネットの出口さんの態
度はそれとまったく対称的なものだった。普通だった
ら、参加者である僕らができれば名刺交換させてくだ
さい、とお願いするところを出口さんは自ら、名刺交
換させてくださいとおっしゃられていた。そして、
質問があれば気軽にメールをください、ともおっしゃ
られていた。そして、その語り口が人を安心させるも
のだった。たぶん、この人だったら本当にメールで質
問しても答えてくれるだろうな、という感じだ。


本当にコミュニケーションとろうとするのであれば、
コミュニケーションをとる前にやっぱりバリアをとら
ないといけないと改めて思った。