「若手」って誰?

昨日のNさんとの話の中で、Nさんが「若手はみんな今
の会社のシステムでは立ち行かなくなっていることを
気付いているよ、だからモチベーションが下がるんだ
」というようなことを言っていた。それに対して、そ
の若手って誰ですか?ということを聞いてみた。結局
、具体名がなければそれってものすごくある意味危険
な「みんなが言っている」というようなことになって
しまうからだ。


Nさんがあげてくれたのは、ISKさんだった。言われて
納得した。確かにISKさんはものすごく感度も高いし、
そういう会社の問題にも気付いているからだ。


でも、そこで僕が感じたのは、ISKさんの年齢だ。もう
34歳だという。34歳にまでなっても若手と呼ばれ、会
社の不満をいろんな人にぶつけているのだ。これはま
ずいだろう。もはや34歳で若手なんていうのはおかし
いと思う。規模にもよるが、会社によっては、それぐ
らいの年齢で十分に責任者となっていたりする。そう
なった場合と、いつまでも"若手"と呼ばれていたりす
るようなシチュエーションではやはり成長曲線は大き
く変わるはずである。


そういう意味で極めてこの会社はまずいと思う。結局
、30歳を過ぎてもいつまでたっても大人扱いされずに
「若手、若手」と呼ばれるから、大人であるという自
覚が生まれない。なんとなく世の中全般にもいえるこ
となのかもしれないが、精神年齢の低年齢化というの
のが一段と進んでいるようにしか思えない。ISKさん
に限らず、他の人にとってもそうだ。


30代で若手と呼ばれ続けていたら、本来、本当の仕事
のやるべき40代への準備なんかまったくできないだろ
う。別に若手を登用せよ、なんてことが言いたいんじ
ゃなくて、30代ではもっとチャレンジングな仕事環境
があり、その中で自分を磨き、大人としての自覚を磨
いていかなければならないはずだ。


まぁ、結局これもアンバランスな年齢構成の弊害の一
つであるのだが。




でも、僕がもっと問題に感じるのはその若手の感度だ
。ISKさんなんかはまだ危機感や不安をもっているから
ましだと思う。それに対してそうでない若手が多すぎ
る。組織としてはよっぽどそっちの方が危険だろう。


この「若い人の不安や不満」っていうのもまだまだ表
面化はしていないと思う。一部の感度の高い人間がそ
う感じているにすぎない。ただし、感じている人にお
いても、漠然とした不安であり、だからといってどう
していいかもわからないというのが現状だろう。


大半がこの不安や不満すら感じていない人たちなのだ
。これが本当の問題だと思う。上の世代で危機感がな
いのはまぁ仕方がないとしても、若い世代でこの危機
感が欠乏している状態のほうが長期的にみたときにも
のすごく問題だ。不安や不満が生じている状態のほう
が、危機感の欠けた状態に比べればましなように思う



逆に言えば、上の人間(中間管理職以上!?)にっては、
若い人たちが不安や不満をもってしまうほど面倒な
ことはないだろう。そういう意味で言うと、本来、若
い人が感じないといけない不安や不満を見えないよう
にしようとしていると思う。結局それは危機感を感じ
ない同じような人間を生むことにしかつながらない。


その常套手段が、「そんなこと考えずに目の前の仕事
をしろ」という言葉だ。もちろん、それはもちろんす
ごく重要なことであり、紙面上でローソンの新浪氏も
「目の前の仕事は全力で取り組んだ」と語っている。
でも、それと同時に、長期的視点や客観的視点をもつ
ことも養わないといけない。「目の前の仕事をしろ」
というのはある種正しいことなので、それに反論の余
地がないところがまた問題だろう。そう言われてしま
っては返す言葉がないからだ。でも、ときにそれは、
意図しているのか、意図せずなのかは別として、本質
的問題から目をそらさせるためだけに働くこともある
。本当に正しいのは「目の前の仕事」と「長期的なビ
ジョン」の両方をもつことなはず。若い人に欠けがち
な「長期的なビジョン」をもたせてやるようしむける
のが本来の上司の役割だと僕は思うだが...。