日本の産業育成
リーズの研修の最後にK先生が日本の医療産業育成の概
観という形でプレゼンをしてくださった。その内容は
スーパー特区についてだ。
スーパー特区とは、最先端の再生医療、医薬品・医療
機器等について、重点分野を設定した上で、先端医療
研究拠点を中核とした研究機関や企業に属する研究者
又は研究グループから成る複合体(以下「複合体」と
いう。)のプロジェクトを選定し、研究資金の弾力的
運用、規制を担当する厚生労働省等との並行協議等を
試行的に運用し、これにより先端的な医療の実用化、
産業化や国民へのより迅速な提供に向け、研究開発の
促進を図ることを目的とするもの、という説明がある
。
要は、将来の市場が見込める先端的な研究テーマには
お金を出して、さらに薬事のバリアを通しやすくしま
すよ、ということらしい。
これ自体は今までに比べればいい方向にシフトしてい
るという。でも、日本っていうのは、結局どういう方
向に行きたいかというビジョンがあるわけではないの
だ。シーズありきなのである。だから今回もシーズの
募集があり、それに対してお金がつくという。こうい
う方向に行きたいから、こういうものをやっていこう
というのとは違うのだ。そこに国の施策の問題がある
。
さて、K先生自身は人工角膜の研究を行っている。仮に
これが成功したときに、どこの会社が製品化するのか
、と聞いたら米国の会社かもしれない、とおっしゃら
れていた。当初は日本の企業がやる予定だったのだが
、そこがやらないとなったらしい。それに、市場にし
ても角膜の再生とはいえ、今の角膜移植の市場ぐらい
しかない。そうなると、500億円程度の市場らしい。
でも、K先生がいうには、「目が見えるようになるって
すごいことでしょ。そこにモチベーションがあるんだ
。国としてゲームとかにお金をかけるんじゃなくてこ
ういうところにお金をかけていくべきだろう」という
ことだ。
国の研究機関で開発しても、それを海外の企業が事業
を行うというのはやっぱりおかしい。全然、国益にか
なっていない。そういうところに多くの問題が残って
いる。でも、そんなところに問題意識を感じる政治家
なんていうのがいないのもまた事実だろう。