3M

K先生は3M社で15年近く働いた後に、国の研究機関に移
られたという。3M社では、ずっと医療分野の研究に携
わっていたが、数年前に医療分野をやめる、というこ
とになったという。たしか人工心臓なんかはテルモ
売却され、人工関節とかも別の会社に売却されたよう
だ。K先生自身は研究所だったけど、自分のやりたい分
野は医療分野だということで会社をやめることを決め
たようだ。


さて、3Mにいたときにどういう観点で研究テーマを生
み出しているかを聞いてみた。営業からの情報なんか
はやっぱり何の役にも立たないという。実際にどうい
うところから出てくるかというと、病院に行っている
ときに先生と仲良くなりそういうところからポロっと
出てくるような「実はね...」とか「ちょっとこの問
題...」というところから出てくるのがほとんどだっ
たという。


なるほど、3M社らしいなぁ、というのが感想だ。た
しかに分野は違っていても、自社を省みるとこういう
ところは多い。市場調査とかやアンケートなんかから
はやっぱり新しいものは生まれない。結局それは誰で
も手に入れられる情報だからだ。そうではなく、それ
こそ現場の生の情報に触れ、そこで技術者が感じられ
るかどうかその感度の差にこそ、大きなポテンシャル
があるのだと思う。そう考えると、やっぱり人材の育
成でもそうした感度をどう高めるか、という観点が必
要になってくると思う。