競合がやりたくてもできない2

昨日はキーエンスだったが、今度は別の例だ。「既存
企業が既存の仕組み・カルチャーに縛られることで新
しいところに参入できない状態」ということを言うの
が目的だ。


別の例でいうと、ライフネットと既存生命保険会社、
という図式がある。ライフネットは、元日本生命取締
役と、「ハーバード留学記」の岩瀬氏という2人が起こ
したネット専業の生保会社だ。
http://www.lifenet-seimei.co.jp/
ライフネットの場合、生保レディを抱え込まないこと
で3〜4割安く生命保険商品を提供できている。


既存生保 :大規模に生保レディ雇うモデル。
ライフネット:ネットで生保販売を行うことで、生保
レディの人件費を抱えない分、安くで
きる。


では、既存生保がどう対抗するかだ。結局、既存の生
命保険会社は生保レディによって成功を収め、成長し
てきた。インターネット事業自体は、たぶん日本生命
もやろうとすればできるはず。でも、既存のキャッシ
ュマシーンを捨ててまでできるか、と言ったらたぶん
「NO」だろう。でも、生保レディを抱えたままでは結
局インターネット事業を始めても中途半端にならざる
をえない。そういう意味でライフネットは既存生保の
ジレンマを引き起こしているといえる。要は既存のキ
ャッシュマシーンを捨てないと新しいことはできない
、でも、既存のキャッシュマシーンを捨てたらできな
い、というジレンマだ。


では、既存の生保が今どうしているか、というと、既
存のキャッシュマシーンにさらに磨きをかける方向で
動いているように見える。それがTVCMでよく流れてい
る、ちょっと感動的なストーリーで生保レディが、「
私の父は...」みたいな話をしたりしているのがその際
たるものでしょう。要は、対面販売だからこそサービ
スが決め細やかですよ、というアピールをしているこ
とになる。


一方で、ライフネットのビジネスモデルはほぼ完璧と
言える。岩瀬氏自身が投資ファンドに在籍していたこ
ともあり、そういう目線で事業というものを見れてい
る、というのも大きいと思う。でも、岩瀬氏が唯一自
分たちが失敗するとしたら...ということで話してい
たことがある。それは、どんなにこっちの方が安いし
合理的です、ということをお客さんに提示したとして
も、"人間は必ずしも合理的ではない行動をとる"もの
だということだ。 要はお客さんが合理的な行動をとれ
ば明らかに自分たちのサービスを選ぶが必ずしもそう
なるとは限らない。その非合理的な部分がまさにこれ
の不確実性だ、ということだろう。

僕の言いたいのは、いずれ明らかに競合になるであろ
う相手がやりたくてもできない仕組みを作りたい、と
いうことだ。