競合がやりたくてもできない1

延岡先生が意味的価値を創出している一つの例がキー
エンスだと言ってた。要はお客さんである技術者が「
キーエンスの商品はかゆいところに手が届く」と言う
その「かゆいところに手が届く」が意味的価値なんだ
とおっしゃられていた。
これはなるほどな、と思った。「かゆいところに手が
届く」というのは数値で表現することが極めて難しい
部分だ。だから、機能と価格といったそういう軸での
差別化ができないものであり、まったく別の軸が必要
になるところだと思う。


ではそれを実現しているところは何だろうか。。それ
キーエンスの営業部隊だ。彼らの一番のプライオリ
ティは『顧客の潜在ニーズを持ってくる』だと思いま
す。要は顧客のニーズを持ってくることが一番も目的
であり、モノを売ることではないはず。だから、価値
観(カルチャー)として、モノをたくさん売った人間よ
りも大ヒットにつながったニーズを拾ってきた方が絶
対的に評価する仕組みになっているのだと思う。


では、これを大手メーカーがやろうとしてできるか、
といったら「NO」だと思う。どこもできていないから
こそキーエンスが高収益をあげられるだろう。もちろ
んBtoBに特化しているからこそできる戦略だともいえ
るが。
要は自分たちで工場を持ち、モノづくりをしている以
上できたものを売らないといけない。売らなければ在
庫が溜まる一方だし、下手をすればキャッシュを生み
出すべき工場をとめることにもつながってしまうから
だ。だから、どんなに「お客のニーズをくみとってこ
い」と営業に行ったところで、決して売上を疎かにし
たり無視したりはできない。どんなに上の人間が叫ん
だところで、いざ売上げが落ちてきたら、「押し込み
営業かけろ」なんてなるんだからカルチャーとして根
付くわけはない。


要は、工場を稼動させモノづくりをさせる、という事
業の仕組みをとっている限り、大手メーカーはマネし
たくてもキーエンスをマネできない、と僕は考えてい
る。


今考えている事業についても、他社がやろうとしたと
きにやりたくてもできない、そういうふうにできない
だろうかと考えている。