やりたいからやる...!?

Oさんと話していて、Oさんのテーマがどう考えても理
にかなっていない、となったのだが、そのときにOさ
んが言ったのは、「やりたいからやる、それだけだ」
ということだった。それはそれで別に否定はしないの
だが、でも、それは典型的な技術者の考え方だろう。


Oさんに限ったことではないのだが、どうにも研究所で
違和感を感じるのがみんながみんな、商品を出すこと
が目的だと思っている。商品を出したら、「よくやっ
た、俺は満足だ」なのだ。もちろん、僕なんかからす
ればそりゃ商品を出すことだってとても価値あること
だし、ものすごくハードルがあることはわかる。でも
やっぱりそれだけじゃダメだ。


既にOさんのチームが出した商品Rがある。でも、それ
自体全然売れていない。それが何を意味しているかと
いうとこういうことだろう。


S社長率いる「RR株式会社」は、研究開発型のベンチャ
ー企業。○○に画期的な効果がある、という製品の開
発に成功した。そして、その製品の利益を元に、次は
○○の進化した、RRnextの開発も目論んでいます。壮
大な夢を実現させるため銀行から初期投資5000万円を
借りて事業を始めた。返済期限は2年間。そして、製
造はH株式会社、販売はW株式会社と協力し、量販店
での発売にこぎつけた。さて、06年の発売から2年がた
とうとしてる。キャッシュはどれだけ入ってきただろ
う?返済期限は2年間だった。さてどうだろう...。2年
後、5000万円の純利益は出ていない。出てなかったら
...倒産...。


要は自分の金でやっていたら路頭に迷うことになる。
じゃー会社の金だから別に「やりたいことをやればい
い」でいいのだろうか。そうではないはずだ。つまり
、どんなにいいものを作ろうとも事業が成り立たなけ
れば路頭に迷うことになる。この部署に限らず、サラ
リーマンなんていうのは会社の金だから、平気でムダ
使いができる。自分の金だったらできないくせに...。
これが松下幸之助氏が言いたかった社員稼業というこ
とだろう。それこそ、やりたいんだったらやればいい
、そんなにやりたいんだったら自分の金でやってみろ
、だ。自分の金ではできない、でも、会社の金だった
らできる、そういう人間はどっちでやっても成功しな
い。


たぶん、松下幸之助氏は会社の金だとしても、自分の
金だと思って使うぐらいの気持ちでやってほしい、そ
ういうことを言いたかったんだろう。自分の金でもそ
れをやりますか、Oさん?でも、本当に自分の金でや
るとしたらもっと一生懸命やるし、それこそもっと真
剣に考えるはずだ。