MOTスクールに通う人

MOTスクールに通っている人が社内にいるということで
、紹介していただいた。僕自身が、そこに通いたいか
というよりは、私費で100万近くの金額を投じてそこに
通う人がどんな人なのか、というところに興味をもっ
た。


実際お会いしてみると36歳のエンジニアの方だった。
さすがにそういう決断をされただけあって、問題意識
も明確にもっておられた。たんにスキルを磨きに、と
いうのとは一味違った感じだった。


まだ通いはじめて間もないということだったが、それ
でもそこで感じたのは参加者のモチベーションの差だ
ったという。社費できている人のほうが多く、それに
対して私費で通っているHさんではやはり温度が違う
のだと思う。


そういう意味でいうと、結局は集まる人によるところ
があるはずだ。MBAにしても、どのスクールもやるこ
とは同じだが、そこで得られる人脈に違いがある、な
んてことはよく聞く。それと同じようでこのMOTスクー
ルもモチベーションもそうだが、大企業の技術者ばか
りを集めているだけだと、やはり多様性という面にお
いては物足りない部分は大きいと思う。まぁ、MOT自体
、大企業のエンジニアor経営幹部以外が受けないのか
もしれないが。


そのHさんが問題意識としてもっていることだが、それ
はR&Dという立場にいて、ロードマップが書けない、と
いうことだ。要は既存技術が息詰まっているのにそれ
変わるメシの種がない状態なのだ。まぁ、これはどこ
の会社にも言えることではあるが。


それに対しての自分の考えとしては、「市場の軸」と
「技術の軸」の2つがある、というものだ。「市場の
軸」というのは、もはや米国の物まねだけしていれ
ば済んだ時代は終わり、不確実な未来を模索する中、
次に何がくるかなんて正直わからないと思う。そうい
う状況でできることというのは、いかにその「何がく
るか」を早くつかめるかだろう。そこの競争になっ
てくるのだと思う。そうなると、いかにその情報の精
度がよく、その情報を早く持ってくるかにかかってく
る。その役目はというと顧客との接点をもっている部
分だ。つまり営業との連携などそういう面の強化が必
要になる。


一方で「技術の軸」だ。これは市場の動きもあるが、
既存製品がいったいどの技術によって代替されるのか
という技術のトレンドを追うことになる。本来のR&D
としての役割はここになるのだろ。


でも、それを自分たちを何と定義するかによってくる
と思う。要はマクセルなんかは自分たちを記録メディ
ア事業者と位置づけることで、フロッピー→MO→CD→
DVD→ブルーレイ、と技術のトレンドに従って自分たち
を進化させてきた。


一方でそれができなかったのが花王だろう。界面活性
技術を用いてフロッピーディスク市場に参入したもの
のその後の急速な技術の変化についていくことができ
なかった。


まぁ、いままではうちの会社にしても、好き勝手技術
開発していたら、たまたまニーズに合致して爆発ヒッ
トなんてことで生き延びてきたがもうそういうやり方
が通用するとは思えない。でも、例えば、MOTなんか
理論武装した人間が上に立って、システマチックに
組織を動かしたとしても、新しいものは出てこないだ
ろう。


クリエイティビティを発揮させる仕組み、それがシス
テマチックに機能していることが本当はいいんだろう
な。