別の見方をしてくれる人

企業のトップは孤独だ、とか、社長と副社長の距離は
副社長と新入社員以上のだ、とはよくきくことだ。実
際、僕自身はその経験がないからなんともいえない。


でも、思うのは組織のトップになるということは、そ
れこそ自分の価値観、ものの見方で事が進んでいくと
いう恐ろしいことになる。結局、ヒエラルキーの組織
にいる限り、下のものが上のものと同じ目線になるこ
とはないのだ。仮にそういうつもりで下の者が仕事を
していたとしてもそれはバーチャルなものに過ぎない
。そう考えると、トップの目線でものを見ることがで
きるのはそのトップしかいないわけだ。そうなると、
そのものの見方というのはそのトップのそれだけに依
存することになる。要は同じ目線で同じ課題に対して
別の切り口で考えてくれる人がいないことになる。つ
まりはそれを自分自身でしなくてはならないから、常
に客観的に自分を眺められるようになることが求めら
れるのだろう。


MBAケーススタディなんかは、この1つの訓練かもし
れない。同じ課題に対して、いろいろな人がいろいろ
な視点で考え、それをディスカッションする。つまり
はそれを経験することで、自分がどういう切り口でそ
もそも問題を認識しているかがわかるし、また他にど
ういう切り口があるのか、というのを考えることがで
きる。ケーススタディをその訓練と考えれば意義ある
ことともいえるだろう。


他のアプローチとしては、自分以外の人間にその目線
に立ってもらえるような仕掛けをするというのがある
と思う。つまりは、「社員にアントレプレナーシップ
を求める」なんていうのはそれに当たると思う。松下
幸之助氏の語る「社員稼業」もまさにそれにあたるだ
ろう。でも、そうなったときに絶対的に必要なのは、
そういう視点をもった人の意見に自分自身が耳を傾け
られるようになることだ。それがなくてはならない。


まぁ、なによりも一番怖いのは自分の価値観に捉われ
る、という状態だろうなぁ。