ダメ組織だから伸びる

金曜日にNさんと話していた中でダメ組織にいるからこ
そ問題意識を持つことができ、視点を高くもつことが
できる、というような話をした。


たしかにもし自分たちがK研究室のメンバーでグループ
長がTさんだったら、何の疑問も持つ必要もないからお
そらくそれこそ目の前の日常的課題に没頭できていた
と思う。でも、今の研究室ではK研究室のようなビジョ
ンもなければ強いリーダーシップも発揮されていない
。だから自ずと問題意識も芽生えるし、自分で考えな
ければいけないという状態になる。


これは、TTさんに昔、言われたことにもつながるよう
な気がする。当時就職先で行き先を悩んでいた僕に対
して決め手となった言葉だ。「縦軸に成長度、横軸に
時間をとったときに、N社のようなスマートなところに
行けば君は斜め45度の傾斜で成長していくだろう。一
方で"今の会社"に行けば、ずーっとしばらくは10度の
傾斜もない成長しかしないだろう。でも、もしかした
らどっかで、90度傾斜の成長ができるかもしれない。
"今の会社"にはその可能性がある。N社では確実に成長
できるはず、でも逆に言えばそういう無茶苦茶な成長
はしないと思う。一方で、"今の会社"はアホだし、も
しかしたらアホなままで終わるかもしれない。でも、
そういう可能性がある会社なんだよ。」


今になって思うのは、そのとき言われた言葉は要はダ
メ組織だからこそ嫌でも自分で考えざるをえない環境
になるから、成長できる、ということを示唆していた
のだろうということだ。さらに、会社をやめてベンチ
ャーを起こすというのはたぶんそれのある意味究極の
姿になるんだと思う。


さて、こういうふうに自分の逆境をプラスに捉えれる
ことができればモノゴトはよい方向に進むと思う。で
も、一方でみんながみんなそうではない。それこそ、
何も成長しないまま時間だけが過ぎていってしまう人
も大勢いるわけだ。だからそのフレームワークで説明
をするならば、Sさんなんかはその1人だったわけだし
、Gさんもその1人になろうとしているわけだ。時間が
経てば経つほど、賢い組織にいる人間とのスキルの差
というのは大きくなると考えてよいだろう。ダメ組織
にいるとむしろそういう人たちのほうが多いのが事実
だろう。そうなるとやはり、全体最適を考えれば、組
織としてはビジョンを持ち、誰でも成長できるような
仕組みを作っていかなければならない。どうように、
Nさんのような人間には逆境の環境を与え、さらなる
成長を促すことが必要なんだろう。でも、そういう人
材の見極めというのはそれこそなかなかできない。そ
こが難しいところだ。


似たような例が、サッカーの中村俊輔だと思う。彼の
場合はマリノスのジュニアユースからユースに上がれ
ない、という大きな挫折を味わった。中学2年生のと
きは試合に出ていたのに、3年生で出れなくなったと
いうのがなおさらその現実を如実に表していると思
う。でも、彼の場合は、その逆境を乗越え、高校で桐
光学園に進学し、そこで成長し、結果も出し、結局は
それがプラスに働いて今の彼へとつながっている。中
村俊輔選手の場合は、逆境を経験したからこそそれを
大きなバネとすることができたはずだ。もし、あのま
ま順調にユースに昇格していったらもしかしたら日本
代表にもなれず、普通のJリーガーで終わっていたか
もしれないのだ。


でも、一方で中村俊輔選手と同じように、ジュニアユ
ースからユースに昇格できなかった選手というのは大
勢いるわけだ。そしてその大半の選手はそのままサッ
カー選手としては下降の一途をたどるのが現実だと思
う。


何を言いたいかといえば、ダメ組織とか逆境とかがプ
ラスに働いた場合は大成する可能性が大きいが、一方
でそれが大半の人にはマイナスに働くといえる。