ミネソタ医療機器開発セミナー

今日はミネソタ医療機器開発セミナーということで、
メドトロニックの副社長とミネソタバイオクラスタ
の人の講演を聴きにいってきた。


メドトロニックの戦略はとてもシンプルでとても明確
だった。さらにこれだけストラクチャードに仕組みが
できているっていうのも、さすが米国の大企業だなぁ
、という感じだ。


元々のオリジンは心臓のペースメーカーをバッテリー
で動かせるようにしたのが起源だった。そこから、生
体に対する電気刺激という技術を軸に発展させていっ
た。


前CEOのビル ジョージ氏が著書の「ミッション・リー
ダーシップ」の中で語るようにその銀メダルを大切し
ているということは同様に語っていた。でも、やはり
きちんとフォーカスしているところがすごい。人々の
ライフスタイルではなく命に関わるところ、救命であ
り、痛みの除去であり、延命であり、そこにフォーカ
スをあてている。でも何がすごいってそのミッション
自体というよりは人の生命にフォーカスを当てている
という点だ。人の生命なんていうのはそれこそお金に
変えられないもの。要は、絶対にニーズがなくなるこ
とがない分野だという。そこで確かな地位を築き、技
術を磨き、チャネルを持っているということは、やは
りビジネスモデルとしてものすごく優れているといえ
るだろう。


それと、生命に焦点を当てているものを作るという使
命はやはり働く人間のモチベーションにも大きく関わ
ってくると思う。だから、そういうものを作るのとエ
ンターテイメント製品を作るのとでは、モチベーショ
ンの根源となるものが全くことなると思うのだが。(
話がちょっとそれた。)


そして、今はR&D投資のマトリックスを元に次の事業創
造を行おうとしている。アンゾフのマトリックスだが
、以下のような感じだ。


(1) 既存技術x既存市場:〜50%
より小さく、より短く、より電池寿命長く


(2) 既存技術x新規市場:10〜15%
今の技術で脳に刺激与えてみるとか


(3) 新規技術x既存市場:〜25%
手段のある疾病に対して別アプローチ


(4) 新規技術x新規市場:10〜15%
遠隔治療とか。


アンゾフのマトリックスは知識としては知っていたが
、実際にこういうふうに使うんだ、というのを始めて
まのあたりにした感じだ。逆にいうと所詮本から学べ
ることはその程度だし、それじゃ自分がただの頭でっ
かちになりがちだ、ということだ。


ただ自社のR&Dがとてもじゃないがこんなシンプルには
整理できていないから、そういう意味でとても新鮮だ
った。今すぐにでも自社に当てはめて考えたい。ただ
むちゃくちゃなことになると思うが。


そしてこれからのビジョンとしては、これまでの物理
科学(材料、電気)からライフサイエンス、バイオ、I
CTという分野への進化をかかげている。


そしてR&Dの考え方だ。基本的には他社とのアライアン
スを基本としている。アライアンスの考え方は、M&A
minority 投資、ライセンシングとある。minority投資
は、買収まではいかなくてもある程度出資をしてその
技術を注意深く見守るようなやり方だ。


戦略としては、次の3つが軸となっている。
(1) その技術に将来性がある
(2) 市場がある(既存or新規)まだ見たことない患者
のニーズに対するものとか
(3) 自分たちの技術を補完してくれる
これらのどれかがあればいいとのことだった。それと
、もう一つ言っていたのが、コンセプトに対しては投
資しないということ。要はそのコンセプトをある程度
具現化したものに対してしか投資はしない。
それは、仮にその会社を買収したとしたら、2年で利益
を上げるようにもっていくことが買収の一つの条件と
なっているからだ。だから大学の研究に直接買収を持
ちかけるとかいったことはなく、そこに有望なものが
あるならばライセンシングとかそういったやり方にな
るのだ。


日本市場については薬事の難しさをやはり課題として
あげていた。


それにしてもやはり感じたのは、メッセージがシンプ
ルであり明確だ。これならば迷いがない。正直、この
分野に関して言えば隙がないといったところだろう。
今回、このバイオクラスターを中心に新たな技術の掘
り起こしが主目的ともいえるし。


結局はでも顧客とのインターフェイスのところ、つま
りチャネルを押さえているというところが大きいとい
える。そこからニーズを汲み取ることができるわけだ
し、さらには新しい技術を仮に買ったとしても、そこ
に流せるという大きな強みを持っている。だからベン
チャーはメドトロニックを出口として目指すメリット
もあるし、メドトロニックはそうしたベンチャーをR&
D投資と見なすことでメリットがあるのだ。要はどこに
強みをもっているかということ、そしてそれを存分に
活かすことがKFSだろう。


いつまでも何でもかんでも自前主義でやってはいけな
い。それこそ、日本の企業のR&Dの考え方も変わるべき
だし、もはや遅すぎるともいえなくもない。