お客さんの「用事」

R事業について考えてみた。なぜうまくいっていないか
を、お客さんの「用事」という観点から考えてみた。
ポイントは2点あると思う。


(1) 同じ用事を解決
そもそも新事業としてRを始めたわけで、既存事業とチ
ャネルが異なっている。ただし、ビジネスの形態が既
存事業商品を利用したものである。従って、チャネル
自体は変わってはいるのだが、「用事」を解決すると
いう観点でみれば、既存商品となんら変わりがない状
態だ。もちろん、サービスを展開することで、付加価値
は多少は生まれるのだが、要はその差別化が中途半端
だ。


(2) 既存商品との矛盾
矛盾するポイントは2つある。まずは、差別化のポイン
トである。上記の中途半端な差別化とあるが、それは
その差別化ポイントを今度は、既存商品にも持ち込む
ようにしているというところにある。つまりはR事業の
サービスを利用しなくても既存事業でそれができるよ
うにしてしまっているのだ。
もちろん、あくまでR事業をそういう位置づけととらえ
て既存商品で儲かればいいという考えならばそれでいい
と思う。でも、そうではなく、R事業にも事業責任を求
めるのであればそれをやってはいけないのではないだ
ろうか。
ただ、逆の言い方をすれば既存商品でもできるようなこ
とを差別化のポイントとしてはやはり付加価値は生まれ
ないだろう、といえる。
2つ目は、既存商品のハードルを下げてしまっているこ
とだ。例えば、F業界なんていうのは「用事」自体は他
に代替手段はいくらでもあるものの、お金を払ってま
でお客さんはそこに来てくれる。それは逆にそれ自体
がお客さんのモチベーションに変わっているからだ。
それにも関わらず、R事業の場合は、既存商品がその
ハードルを下げていくので、わざわざR事業を利用する
必要性がなくなっているというわけだ。


さて、現時点でいえばこんな状態だろう。でも、既存
商品をやめたりしたら、また状況は変わるはずだ。そ
ういう意味で将来の不確実性に対してどんなことがで
きるか、というのも事業戦略の一つだろう。