特許と論文

研究所の使命はネタを考え出すことといえる。わかり
やすく言うと、「問題を解決する能力、問題を理解す
る能力、問題を発見する能力」でいえば、「問題を発
見する能力」が求められるということだ。(これはな
んかのwebか本に書いてあった。)


以前、Sさんはそのアプローチとして、特許を読むべ
きだ、ということを言っていた。他者がどういう流れ
で特許を出してきたのか一連の流れをみることで技術
のトレンドが見えてくる、というようなことも言って
いた。


一方でFさんは論文を読まなきゃだめだ、というスタ
イルだ。特許を読んでいても新しいものは出てこない
、論文を読んでこそ新しいものの発想にたどり着く、
という考え方だ。


2年ぐらい前の話だが、その当時はまぁ、両方とも正し
いと思っていた。でも、ふと、最近そうでもないかも
と思い出した。


Sさんの専門は半導体分野だ。一方で、Fさんはずっと
今の自分たちの分野をやってきている。半導体の分野
について言えば、比較的技術のロードマップが見えや
すいといえると思う。要は次はどのぐらい小さくなっ
て、その次は容量がどれだけ大きくなって、という感
じだ。要は製品の差別化要因がそれほど多くないし、
そこに発展の余地があるということだ。だから、自社
も他社も次は何をしていくのか、ということがだいた
い見えてくる。したがって、Sさんはそういう分野をや
ってきたからこそ特許を読む重要性を感じていたのだ
といえる。


一方で自分たちの分野は必ずしもそうではない。おお
まかにトレンドはあるものの、意外な切り口からそれ
が製品の改良へとつながったり、新しいものの提案に
つながったりしている。Fさんの今までの切り口も、
例えば、2000年にはそういう技術ができているだろう
、というよりは、Fさんが考えださなかったらいまだ
になかっただろうな、といえるようなものもある。そ
ういう環境で仕事をし、結果を出してきたからこそ、
自分のアプローチである論文を読むことが大切だと感
じるのであろう。また、別の切り口で考えればこっち
の分野のほうがよりアカデミックだともいえる。


長々と書いたが、目指す軸が業界としてある、もしく
は、多様なアイデアが存在しうる、そのどちらかで、
特許と論文のどっちのアプローチがよいのかというの
は決まってくるのでは、ということだ。