あきらめないorやめられない

「成功の秘訣はやめなかったこと」というのはよく耳
にする。でも、最近はちょっとひねくれた見方もして
しまう。


要はそのテーマをやめてしまったら仕事がなくなって
しまうのでやめるわけにはいかない、つまり、やめら
れないのではないか、ということだ。自分自身も成功
の見込みは少ないとは本心で思いつつも、でも、やめ
ても他に何もできないし、することがなかったら、さ
も進んでいるように見せながらテーマを延命するよう
になるのではないだろうか。


でも、「やめる」という決断はやっぱり上の人間にし
かできないことだと思う。これは、リクルートの江副
氏も著書で「始めるのはボトムアップで、やめるのは
トップダウンで」と書いていた。自分からやめてしま
えばどうしても「あきらめた奴」と周りも本人も思う
ことになる。それがいいかどうかは別として、上から
やめさせられたならば、本人も自分自身であきらめた
わけではない、という面目を保つことはできる。


いずれにしても、じゃーどこまでやるか、といえば、
「発売するまではやりきる」というのが一つの出口だ
ろう。どんなものであっても、例え風が吹けば桶屋が
儲かる、のような話であっても、やっぱり発売してみ
なければわからないからだ。でも、一方で、発売はし
ても売れるかどうかまで責任を持つ、という例は少な
いように思える。本当にお客様主義であるならば、目
的は「発売すること」ではなく「お客様に喜んでもら
えること」でなくてはいけないはずだ。


一方でユニクロの例もある。野菜販売の事業を始めた
が数店舗の営業を経て、撤退した。そのときは、担当
責任者自身がこれ以上やってもうまくいないと思う、
と柳井氏に話したことで撤退が決まった。トップがど
ウであろうと、実際にやっている人間がうまくいかな
いと思ってしまったらそれがもしかしたらやめどきな
のかもしれない。


いずれにしても、テーマって始めるのは簡単だが、や
めるのは難しいとつくづく思う。さらに、やりたいこ
とが他にたくさんあるならともかく、そうでない場合
はなおさらだろう。


また、タイトルに「あきらめないorやめられない」と
書いたが、最近思うのは世の中必ずしも二分法では分
けられない、ということ。
誰しも成功を信じてあきらめないと本心で思っている
一方で、これをやめたら仕事がなくなるから、見通し
は悪くてもやめないでおこう、という気持ちももって
いる。必ずしもその人を「あきらめない人」、「やめ
られない人」とは決めることはできない。そうなると
結局は結果論になり、「彼はあきらめなかったから成
功。」「彼はやめてしまったから失敗」とそうなるの
かもしれない。




じゃーお前はどうなんだ、となる。
僕の場合は、成功の絵がほんのちょっとでも見え続け
るのならばやり続けるべきだと思う。でも、やってい
る本人がうまくいかないと思っているならばやっぱり
やめたほうがいいと思う。うまくいかないと思ってい
たら、所詮、うまくいかない理由しか出てこなくなる
から。それってトップだけに絵が見えてても、それが
他のメンバーに伝わらなければ意味がない、というこ
とにもつながってくるのだろう。