事業部に行くことによるマイナス

基本的に研究所から事業部に行って経験を積むことが推
奨されている。それはやはり、実際に商品化して事業を
行っていく上で、どういうハードルがあるのかを知るこ
とで、それを研究活動にフィードバックできるからであ
る。それをわかっていることで、どういう研究が事業に
つながりやすいのかどうかという感覚を養うことにもつ
ながっている。そして、僕自身は運よくそうした機会に
恵まれて、今事業部にいるわけだ。僕が来る前に事業部
に来ていたOさんなんかは、「事業部に行った時点で他
の人よりも君が上だ!」なんて言うくらいだ。


でも、よく考えてみると必ずしもプラスの面だけではな
いはずだ。こっちにきて1年近く経ち、ふと思った。や
はり視点を変えれば必ずマイナスの面もあるのだ。それ
を認識しなくてはならない。


事業部に来ることで、「どういうものが事業化されやす
いのか」という感覚は確かに培われると思う。事業部に
いる人の考え方、研究所からのネタの引張り方などがわ
かるかただ。まぁ、基本的には「売れるかどうか」とい
う判断しかないわけだが。ちょっと話はずれるが、以前
のうちの会社でいうと、その「売れるかどうか」の感覚
が鈍感だったから返ってイノベーティブなものを世の中
に出せていたのだと思う。


で話をもどすと、そうした感覚っていうのは、逆の言い
方をすると、「こういうのは事業部ではやらないなぁ」
という感覚になってくる。従って、悪い言い方をすれば
、「オレは事業部にいたからわかるけど、そういう研究
なんかいくらやってもあそこではできないよ。」なんて
ことになるのだ。別にそれはそれでいいと思うのだが、
問題は、経験を積むことで返って思考に制限ができてし
まうということだ。確かに「事業部を知る」ということ
は重要だ。でも同時に、知ってしまったことにより失う
もの、というマイナスもきちんと認識しなければならな
い。そうでないと、かえって幅の狭い人間になってしま
う。


また、研究所にいる人間は、自分たちがそうした経験を
していないことのアドバンテージを認識するといいと思
う。そういうポジティブな考え方が未来を明るくするの
ではないだろうか。


うーん、プラスとマイナスの面、こういうのが二律相反
実現、ということなんだろうな。