モノづくり出前事例展示

モノづくりの出前事例展示が行われていたので、参加し
てきた。


モノづくりに関してはほぼまったく知識がないため、わ
からない部分も多かった。これはやはりメーカーで働く
以上悔しい。少なくとも話を聞いてわかるレベルには自
分自身をもっていきたい。


まぁ、漠然とパネルをみていただけだったが、VMIにつ
いてのパネルを読んでいたときに説明員の方がいろい
ろと教えてくれた。


VMIとは、Vendor Managed Inventoryという。工場で必
要とする部品をロットで買い入れるのではなく、工場
にロットでは置いておくもののそこまではサプライヤー
が管理するのだという。つまり、従来は部品100個であ
れば、100個分を仕入れて在庫としてもっていたが、VMI
にすると、100個はおいておくものの実際に使った分が
80個であれば80個分だけ支払いをするのだという。そう
することで余分な出金を減らせるのだ。


弊社グループがこれに取り組み始めたのは06年、トヨタ
は96年ぐらいからこれを行っているという。やはり10年
の差は大きい。


また、VMIを行う以前は、部品ロット100個であれば100個
を買い入れていたという。それは、サプライヤーである
中小企業を囲い込み、中小企業が苦しければ、「よっし
ゃ、よっしゃ」といい、部品が届いてなくても仕入れ分
の金額を払ったりしていたという。VMIなど当たり前に思
えるが06年まではこうしたやり方が当たり前だった。ソ
ニーなどはいまだに従来のやり方でやっているのがほと
んどではないだろうか、と説明員の方はいっていた。


これを全商品に適用し、徹底するだけでも、かなりの合
理化効果があるのだという。


また、今はまだVMIの部品を再度自社で検査しているが
トヨタなんかはVMIの部品の検査までサプライヤー
まかせているという。だからトヨタでは100%良品の部
品しか入ってこない仕組みになっている。うちの場合は
自社で受け入れ検査を行って不良があったとしても、そ
れをサプライヤーに通知して終わりだという。まだまだ
そこに差があるのだ。


また、うちのグループも含めて、日本のメーカー、トヨ
タ、キャノン、松下、などはこのように徹底的にモノづ
くりで利益を出そうとしているのだ。中国で工場を作る
のも利益を出すための手段だ。ただし、中国ではまだま
だ品質のリスクは存在するという。だから、中国でモノ
づくりをしていこうとしたら、国内工場の人間が張り付
いて、DNAを注入していく必要があるのだ。


一方で、ソニーなんかは、こういう仕組みにはなってい
ない。基本的にLCDに代表されるようにソニーの場合は、
海外に工場を持つというよりも海外からの買い入れにな
る。しかし、買い入れを行ったとしても、ソニーの場合
は松下やキャノンと同様に店頭販売を行うため、適正在
庫をかかえる必要がある。そうなったときにこの在庫を
自分たちでコントロールできないのが一つの弱みとなる
。また、ソニーの場合は完全なサプライヤー調達のため
需要が供給を上回ったときにも同様にコントロールしき
れないし、生産能力を見極められないというリスクが生
じてくる。従って、こうしたサプライヤー依存の戦略を
とるのであればデルのような戦略をとらなければならな
い。デルの場合は、在庫のリスクを抱え込まないために
完全な受注生産としている。ソニーの場合は買い入れに
よって一時的には利益率は回復するが、適正在庫を持つ
必要がある以上、ものづくりを磨かなくては将来は見え
てこない、という。


一方で、IBMなんかは完全にモノづくりをサプライヤー
に依存している。しかし、IBMの場合は彼らが特許を握
っていることが優位性につながっている。サプライヤー
に対してライセンス料をとれるために、そこで彼らはサ
プライヤーをコントロールすることができるのだ。


一面的な捉え方の部分もあるかとは思うが、勉強されて
いるなぁ、と思った。うちの会社にはなかなかこういう
人はいないように思う。




さてさて、いずれにしても、モノづくりという点に関し
ては、目指すところは、総じていかにトヨタに近づける
か、というところだったと思った。


しかし、これだけモノづくりの努力がなされているのに
も関わらず儲からない。ある種悲壮感すら感じる。MOT
が一つの解決策ではあるが、モノづくりあってのMOT
というのはまさにその通りだと思った。