Only The Pranoid Survive

インテルアンドリュー・S・グローブの「「Only The
Paranoid Survive」を読んだ。訳がイーウーマンの佐々
木かをり氏というのも驚いた。


1996年に書かれたものだが、今(2008年)に読んでもまっ
たく違和感を感じさせることがない。それぐらい普遍的
に戦略転換点というものを捉えていると思う。


戦略転換点というのは厳密に"いつ"というように捉える
ことはできないが、社内の人間がところどころで違和感
を感じ出したときが、そうだ、というのはまさにその通
りだと思う。さらに戦略転換点に陥っている人間が自分
が今戦略転換点に陥っていると認識することも非常に困
難であるというのもわかる。さらにはいつそこから抜け
出せるのかなんていうのもわからない。それらの状態を
実体験に基づいて詳細に描いている。


イノベーションのジレンマ」よりも前にこの本が世の
中に出ている、というのがまたすごい。


それとフレームワークというものを非常に上手に使って
説明している。フレームワークを絶対視するのではなく
、あくまで自分の考えを表す一つのツールとして利用し
ている。本来フレームワークとはこういうふうに使うん
だろう、ということがわかった。また、ものごとの例え
が絶妙である。そういう点も本書を良書たらしめている
のだと思う。


会社の本棚にあるものをもらってきたのだが、アマゾン
で見てみたら、used品で8,000円近くになっていた。も
っと広く読まれるべきではないだろうか。


しかし、企業や企業家の本を読むと、自分の中で今まで
得体が知れず漠然としたイメージでしか捉えられていな
かったものがクリアになる。こういう場合ってたいてい
本を読む前は、その会社の経営者は恐ろしく頭の切れる
天才のような錯覚に陥るのだが、実際に読んでみると、
極めて人間的でありかつ未熟な部分を克服しながら成長
してきたというのがよくわかる。


今回のインテルアンドリュー・S・グローブ氏、、ソ
ニーの盛田昭夫氏、出井伸之氏、リクルート江副浩正
などが特にそうだが、でも、よくよく考えれば、これら
に限らずどの本にしてもそうだなぁ、と思う。


自分の傾向として"得体の知れないもの"="過大にみえる
"というのがあるかもしれない。