市場の認識を変える1

市況の悪化で計画目標の達成困難の見通しが出てきた。
それに際して、社長は、こういうときだからこそ別の事
業分野で利益を出し、アクシデントに強い企業だという
ことを市場のアピールしようといっていた。市場の認識
を変えるチャンスだ、ということだ。


たしかにそれはもっともなことだ。では、それで具体的
にどうしているのか、ということだ。例えば、単純に考
えれば、収益の安定している事業にさらにマーケティン
グ費をつぎ込むなどの施策はうてる。そういうことはす
でにやっているのかしら。結局は市況の変化によって資
金配分の意思決定を変えることが必要になると思うのだ
が。


さて、言いたいことはそういうことではない。問題視す
るのは"市場へのメッセージ"が最初に来ていることだ。
市場にアピールしよう、というが、それは最初に考える
こととは違うのではないだろうか。


アマゾンの事例がHBRの1月号にのっていた。創業から3
年目で順調に成長していた頃に、アメリカ最大の書店で
あるバーンズ&ノーブル社がネット販売に参入すると表
明した。その際、マスコミもアナリストもこぞって、こ
れでアマゾンも終わりだと書きたてた。社員125人対社
員30,000人、明らかに規模が違っていた。社員の家族か
らも大丈夫なのか、と会社に問い合わせがあったという
。そのときにベゾスが言ったのは次のことだ。「もっと
もっと心配しなさい。ただしライバル企業に脅えるので
はありません。お客様に畏敬の念を抱くのです。利益を
もたらすのはお客様であってライバル企業ではないので
すから。」


本当のお客様主義、というのはこういうことをいうのだ
と思う。