この前の研修で思ったこと

思ったこと6点。(ちょっと多い。)


(1) プレーイングマネージャー
======================================
最初にプレーイングマネージャーの話をされていた。最
近はどこもプレーイングマネージャーが多くなっている
、という内容だった。ただし、そもそも、「なぜプレー
イングマネージャーが多くなった」という説明はなかっ
た。現状の会社として、売上高は伸びてはいるが、従業
員数は横ばいor減少と思います。(詳しいデータはみて
いませんが。)
どんなに業務効率化をしても、1人1人の業務量は自ずと
増えるはず。要は、そうしていかないと、給与レベルを
維持した状態で、会社が利益を上げることができない状
態にある、ということを認識しないといけないはずなの
だ。
単に、「変化のスピードが早い時代だからプレーイング
マネージャーが増えている...。」という話では、あま
りピンと来ないだろう。せっかくこういう話をするので
あれば、そうした背景を踏まえた説明をすれば、より会
社に対する理解が高まると思う。


(2) 自己開発プラン
======================================
研修の事後レポートとして「自己開発プラン」があるが
、これに上司のコメントが必要なのはどうしてなのか。
同期でも、自分の職場に不満をもっている人は中にはい
る。例えば、そうした人が営業にいたとする。3年後の
あるべき姿を「営業の限界を感じるから公認会計士の資
格をとる」としたとする。それをそのまま、「自己開発
プラン」に書いて、営業の上司にどういうコメントを求
めるのだろうか。上司はどういう反応を示すだろうか。
ましてや上司に不満がある場合はどうだろうか。
キャリアを現在の自分の延長上に置くのであれば、「自
己開発プラン」は有効となるだろう。でも、みんながみ
んなそうではないだろうし、そうであるべきではないは
ずだ。「自己開発プラン」を本当にその人のキャリアの
ためのもの、と捉えるのであれば上司のコメントではな
く、例えば、「10年後の自分から見た今の自分へのコメ
ント」とでもしたほうがよっぽど正直になるような気が
する。(あくまで一例だが。)


(3) 経営理念に帰る
======================================
「迷ったときに経営理念にかえろう」というのは正しい
主張だろう。CSRクイズみたいに、「上司が横領しよう
としています。あなたはどうしますか?」なんて状況で
は自明だ。でも、実際のサラリーマン生活ではそれほど
ものごと単純ではない。本当にクリティカルな場面では
そんなきれい事はいえないはずだ。
例えば、問題が上司にあるとき。「部署のコミュニケー
ションがうまくいっていない現況は上司の態度にある。
」「顧客との関係悪化は上司が顧客をないがしろにする
から。」「上司は技術思考だから技術に走るが顧客思考
じゃないから売れない。」でも、このやり方で現状はう
まくいっているとき...。しかも上司の周りにYESマンし
かいないとき。
別の例でいえば、新しい方法を考えたときに、「昔から
このやり方だから」「伝統的に...」なんていうのはよ
くある例でしょう。明らかに世の中の流れに逆らってい
る。さて、3年目の若手社員はそんなときどんな行動を
起こすことが正しいだろうか。素直に意見をぶつけたほ
うがいいだろうか、でも、意見をぶつけたらただのわが
ままなやつ、というレッテルを貼られることはないだろ
うか。「このやり方は経営理念に合っていません」とい
って、果たして上司は、「その通りだね」となるだろう
か。そんなことをいって自分の評価は下がらないだろう
か。結局、理念に帰ってみたら、"サラリーマンとして
の"キャリアに失敗した、なんてことにはならないだろ
うか。
結局は、経営理念に帰るにしても、自明な状況ではなく
、サラリーマンとしてのクリティカルな状況で、どう考
えるべきか、をシミュレーションするほうが重要だろう
。実際に直面する問題の多くは、"人間としての(自明な
)"というよりも、ほとんどが"サラリーマンとしての"ク
リティカルな状況なのだから。


(4) 社外に視線を向けよう
======================================
今回の研修も、社内の他部署の同期と交流をする、とい
う意味では非常に有意義な研修だろう。
しかし、残念な点としては、視点がかなり内側に向きす
ぎている。社内と同期と自分を比較したところで、たぶ
ビジネスパーソンの成長には何の役にも立たない。せ
めて、他社の同期、と比べてみる、くらいのことは必要
ではないだろうか。
理系でいえば、多くの優秀な人間はもはや大企業志向で
はない。インクスやキーエンスといったところにも多く
の人が就職する。インクスなんかは社内の時間単位が秒
単位だし、キーエンスでは、顧客の潜在ニーズを聞く姿
勢が徹底している。業種が違うといえばそれまでですが
、そういう企業の同年代と自分たちを比べたときに初め
て、「自社の自分」というのを認識できるのではないで
しょうか。
これから会社として競争していかなければならないのは
、中国であり、インドでしょう。社長も、ブログで他国
の成長率に言及していたりする。そういう環境におかれ
ながら、日本の他社に対する自己認識、すらできないの
であれば、ましてや世界に対する自己認識なんてできる
わけがない。そういう意味でも、社長の言っていること
と研修の内容は必ずしもリンクはしていない。


(5) 危機感の欠如
======================================
参加した同期には少し危機感が欠如しているように思え
た。若手社員社員を、『危機感の有無』x『その方向が
社内に向いているか社外に向いているか』という切り口
でカテゴライズしてみると下記のようになるのではない
か。


(1) 社内 x 危機感ある
まだまだ仕事が十分にできず自信がない、もっと頑張ら
ないと。
こういう人はもっと頑張りましょう。

(2) 社内 x 危機感ない
そこそこに仕事ができて、そこそこに楽しんでいる。
こういう人は危険。

(3) 社外 x 危機感ある
このままここにいてもやばい、何も成長しない。
こういう人は得てして優秀、もったいない。

(4) 社外 x 危機感ない
仕事つまらないなぁ、転職しようかなぁ。
こういう人は論外。

たいていの人は(1)だろう。でも、本来こういう研修で
は、、(2)のような人にさらなる危機感を持たせ るこ
と、(3)のような人に、社内でもっと成長できる余地が
あることを示す必要があるのではないか。 (3)のよう
な人に対しては、「社内でろくに成果も出してもいな
いのに、他者で通用するわけがない」という言い方で
もよいだろう。
(3)の人が 「社内でまだまだ通用していない」と思え
ば、会社をやめたりはしなくなる。「若者はなぜ3年
で会社をやめるのか」も一時期話題になったが、たぶ
ん、(3)のような人材がその内容に当てはまるように思
える。(私は読んでないですが...)
要は良い意味で社内にいても、危機感を感じていれば
、人はやめないだろう。ただ、いずれにしても概して、
危機感が足りない、の一言につきる。
そもそも、「もっと勉強しないと...」と思っていても
何もできていないのは、本当に危機感を感じていない
からだ。「危機感を感じる」「成長を感じる」この2点
があれば、少なくとも優秀な人材はやめないはず。
同期と仲良くおしゃべりして、「みんな大変だねぇ。
」では、たぶん、本当の危機感は生まれないはず。そ
ういう意味で、今回の研修は"危機感"を感じる機会損
失ともいえるかもしれない。
ユニチャームの高原慶一郎氏は座右の銘の1つとして、
「一生危機感」とあげているくらいですから。危機感
を感じすぎて損するものでもないだろう。もちろんメ
ンタルヘルスには気をつけないといけないが。


(6) 論理的思考力
======================================
うちの会社では、キャリア開発と論理的思考力がリン
クしている。しかし、GLOBISに10万円近く払って、論
理思考の研修を1度受けた程度では、たいして身にはつ
かないだろう。
例えば、Aさんは論理思考の研修を1度受けたことがあ
る人、Bさんは研修は受けたことがないけれど、バーバ
ラ・ミントの「考える技術・書く技術」を10回読んで、
ワークブックを10回やったことがある。
さて、AさんとBさんはどっちが論理的思考力が身につ
いているだろうか。要は、研修を受ける受けないでは
なく、"姿勢"の問題である、ということを早いうちに
教えるべきだろう。
それをしないと、上っ面だけの論理的思考力が身につ
くだけです。(かえって害になるかもしれない。)
その姿勢の元となるのが、上記に記載した危機感だ。
もう1点、過去の延長上に問題があった時代であれば、
論理的思考力で、問題解決ができていたが、"今"はそ
ういう時代ではない。論理的思考力だけでは、見たこ
とがないもの、自分が理解できないもの、を捉えるこ
とはできない。
もちろん、論理的思考力は大切だが、それだけでは、
生きていけませんよ、ということもできるだけ早く教
えてあげるほうが親切だろう。順番としては、まずは
論理的思考力から、でOKだと思う。でも、"その次"を
意識するかどうかが大きく成長に差をつけるところだ
ろう。
==========================================