トヨタ式ホワイトカラー革新

トヨタ式ホワイトカラー革新」という本を読んだ。ト
ヨタ生産方式のコンサルタントの方が書かれた本だ。内
容としては、トヨタ生産方式をホワイトカラーに適用し
岩手県庁の事例と紀文のロジスティックスの事例が中
心である。ただ、著者が現場で経験したことをもとに書
いているため追体験できる良書だ。


その中でも、印象に残ったのが、大野耐一氏の「答えを
教えない」ということだ。著者は元々トヨタ生産方式
元祖である大野氏と鈴村氏に師事していた。そのときの
大野氏はいつも工場を見ると一言だけ「塗装屋ばかりが
儲かっている工場だ。」と言ったり、けものへんに"動"
という漢字だけをホワイトボードに書いたりした。しか
し、それを言われたほうには何のことだかはさっぱりと
わからない。でも、その中で、著者は大野氏のメッセー
ジをヒントに考え抜いて自分たちの答えにたどり着いて
カイゼンを実行していったという。


結局は答えは与えられてはダメなのだ。自分でそこに辿
りつかないと意味がない。そうしないと本当に自分のも
のにはならないし、別の応用問題に対応できなくなって
しまう。しかし、そのためには徹底的に考えぬかなけれ
ばならない。大野氏はそういう育て方をしていたのだ。


別のときに著者が大野氏に「○○の問題で困っている」
という相談をしたところ、「困り方が足りない」とだけ
言われたという。要は知識で解決できる範囲でしかその
著者は考えておらず、本気で考え抜いていなかったとい
うのを見抜かれたのだ。


「困り方が足りない」.......いい表現だ。


今まで大野耐一氏の名前は知っていたがその中身は全然
知らなかった。もっと彼のことを知りたいと思った。